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介護テクノロジー 補助率80%へ引上げ

介護テクノロジー 補助率80%へ引上げ

 11月28日、総額18兆3034億円の2025年度補正予算案が閣議決定された。厚生労働省は同日、2.3兆円規模となる主要施策を公表。「医療・介護等支援パッケージ」(1.4兆円)では介護職員の賃上げ(1面に詳細)、また昨年度に続き介護テクノロジー導入、訪問介護の提供体制確保等の支援事業などを実施する。介護テクノロジーは予算額、補助率ともに増強。2040年に向け、生産性向上・職場環境改善の実効性をより求める。

 厚労省の補正予算メニュー「医療・介護等支援パッケージ」のうち、介護等は3281億円。▽介護職員の賃上げ・職場環境改善(1920億円)▽介護事業所・施設のサービス継続(510億円)▽介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等(220億円)▽訪問介護・ケアマネジメントの提供体制確保(71億円)――などで構成される。
介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等は昨年度から予算1割増。事業所の業務効率化に向けた介護テクノロジーの導入に対し一定の補助を行う「生産性向上の取組を通じた職場環境改善」の補助率は昨年度の75%(事業者負担25%)から80%に引上げた。

 補助対象機器はテクノエイド協会HPで「介護テクノロジー」のTAISコードが付与されているものが基本。今回、同省は「見守り機器・介護記録ソフト・インカムは業務時間削減効果が確認されているため集中的に支援する」と説明し、小規模事業者も含めより広い普及を目的に、介護記録ソフト導入前後の定着促進費用や、Wi―Fi環境整備費用も補助対象に含めるとした。

 介護テクノロジー補助金は、例年年明けに厚労省より実施要綱が示され、これを受けて都道府県が準備に入るため、介護事業所の申請・導入・運用は実質26年度の予定。24年度実績では、23年度補正予算と24年度本予算(地域医療介護総合確保基金)が並行されたが大半が補正予算での運用になった。一部に基金を組み入れたのは栃木・東京・新潟・石川・三重・徳島・福岡・沖縄の8都県、基金のみの運用は新潟のみだった。

 生産年齢人口の減少で介護人材確保が一層厳しくなる中、今年6月、政府は「省力化投資促進プラン」を策定し、介護テクノロジーについて計画的・継続的な導入の必要性を示唆。40年に▲20%以上の業務効率化を行うことを目標としている。

中山間地域等に訪問介護サテライト

 「訪問介護・ケアマネジメントの提供体制確保」のうち、訪問介護に関しては、昨年までの人材確保、経営改善に加え、新たに「地域の体制づくり支援事業」を拡充。(1)訪問介護におけるタスクシェア・タスクシフト(2)通所介護等の訪問機能の追加(3)訪問介護のサテライト設置――を推進する。

 (1)は生活援助その他必要な支援をボランティアや民生委員、家政士などの多様なリソースが担い、介護人材の負担軽減とサービスの持続性をはかる事業。(2)は訪問介護が1カ所もない地域の通所介護事業所(地域密着型含む)による訪問介護の指定取得や人材育成、必要な初期費用への支援を行う。

 (1)(2)共に次年度予算の概算要求でも、確保基金メニューの一つに上がっている。

 (3)は、近隣市町村の訪問介護を本体事業所とし、中山間地域等にサテライト事業所の設置を促進。地域の需要に応じ、柔軟な人員体制を認める。管理者やサービス提供責任者は本体事業所が兼務し、サテライトはヘルパーのみを配置するイメージ。運営規程や職員の給与・福利厚生等の勤務条件、技術指導等は本体・サテライトで一体的に行うことを要件とする。

 導入前支援では要件や手続きを整理したガイドラインの配布や説明会・相談窓口の設置、伴走支援のアドバイザー派遣等を実施。導入時の備品購入、導入後はサテライト事業所の賃借料、本体~サテライトの交通費、宿泊料などを補助する。

(シルバー産業新聞2025年12月10日号)

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