全国的にケアマネジャー不足が深刻化する中、横浜市内でも同様にケアマネジャー不足により、介護保険サービスを利用できない高齢者が待機者として増加している現状がある。このほか、このほか、賃金水準の低さや、更新研修の時間・費用などの負担、日常業務の負担などにより、人材の確保・定着が困難になっている。

　そこで、要望書では①介護報酬の引き上げとケアマネジャーの賃金改善②資格更新研修の見直し（廃止・短縮・負担軽減）③主任ケアマネ必須の管理者要件見直し④カスタマーハラスメント対策の強化⑤業務過多・制度負担の軽減と現場支援――について提言している。

　２０２３年度介護事業経営実態調査結果によると、居宅介護支援事業所の収支差率は４・９％、給与費割合は７６.９％と、収益の大半が人件費に充てられており、１事業所当たりの月間収支は+６万２０００円に留まる。

　瀬谷区ケアマネット代表の橋本あかねさん（居宅介護支援事業所みずのと）は「昨今の物価高騰や最低賃金の引上げに伴い、経営は圧迫されている。事業継続とケアマネジャーの賃金引き上げのためにも、現場の実態を踏まえた介護報酬の早期見直しをお願いしたい」と訴える。
　
　居宅介護支援事業所は、各種加算を取得することで基本報酬を引き上げることが可能だが、深刻なケアマネジャー不足に加え、加算要件が厳しく設定されていることから、取得困難な状況もある。その結果、経営状況の改善に繋がらず、ケアマネの処遇改善や賃金引上げに繋がらないという課題を抱えていた。

　要望の①賃金改善では具体的に▽特定事業所加算の「要介護3～5の者の割合が40％以上」の要件引き下げ▽医療介護連携加算について、多サービスと同様に「連携体制が確立されていること」を評価対象とする―ーなどの見直し案を挙げている。

　　②のケアマネジャー資格の更新研修について、瀬谷区ケアマネットに所属する介護相談センターひとはなの小松巧さんは「研修の負担が多いことを理由に、更新のタイミングで離職するケースが多い」と話す。

　人材確保が困難を極めるなか、更新研修の負担が就業継続の障壁となっていることから、小松さんは「資格更新制度の撤廃、もしくは研修期間の大幅な短縮など、制度の見直しを検討いただきたい」と訴える。　

　当初は横浜市瀬谷区のケアマネジャーや医師会、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護ステーションやその他介護保険サービス事業所などへ署名の呼びかけを行っていたが、同区内のみで２０００筆を超える署名が集まった。

　小松さんは「瀬谷区で実働しているケアマネは１０７人程度。１００筆程度を想定していたが、我々の想像を上回る反響があった。地域の専門職や利用者や家族からの関心が高いことを実感し、全国のケアマネジャーへ署名協力の呼びかけをすることとなった」と話す。

　橋本さんは「地域の高齢者を支えるためにも、ケアマネジャーを目指したい、働き続けたいと思える環境が重要。そのためにも賃金改善や業務負担軽減に向けた対策をしっかりと訴えていきたい」と語る。

　署名の募集は６月２０日（金）頃まで受け付け、その後、国会議員に要望書を届ける予定。
　送付先：〒 246-0031　神奈川県横浜市瀬谷区瀬谷4-20-4 ステラS 1F　株式会社アルファみずのと　居宅介護支援事業所みずのと

　署名活動に関する問合せは居宅介護支援事業所みずのと（☎０４５-３０３-５０７０）まで。