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「制度の整合性欠く」 相談支援の新類型に、事業者団体が強い疑念

「制度の整合性欠く」 相談支援の新類型に、事業者団体が強い疑念

 2027年度の改正に向け、社会保障審議会介護保険部会が昨年末にとりまとめた意見では、一部の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者を対象とする「新たな相談支援の類型」の創設が打ち出された。居宅介護支援全体への利用者負担導入は見送った一方で、ケアプラン作成と生活相談が一体となった新類型については利用者負担を求める方針だ。これに対し、事業者団体は「制度として整合性に欠け、入居者の理解を得られない」と強い懸念を示している。高齢者住宅協会の木村祐介副会長と全国有料老人ホーム協会の光元兼二事務局次長に、新類型導入について事業者が捉える問題点を聞いた。

自費と給付の「二重徴収」

光元
 我々が抱く危惧は大きく分けて2点ある。第一に、現行の法制度との不整合だ。すでにサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、住宅型有料老人ホーム(住宅型有老)は、それぞれ高齢者住まい法と指導指針に基づき、介護保険とは別の枠組みで「生活相談」の提供が位置付けられている。管理費や生活支援サービス費として、入居者は自費でコストを負担している。そこに、生活相談が含まれた新類型にも利用者負担が発生すれば費用の「二重徴収」となってしまう。

木村
 その通りだ。私が所属する学研ココファンでも、月額約4万円の「生活支援サービス費」を受け取り、生活相談や家族との連絡調整、緊急時対応などを提供している。厚労省は「特定施設との均衡」を新類型導入の理由に挙げるが、そもそも法体系や成り立ちが異なるものを無理やり画一化しようとするのは乱暴すぎる。これは単に「自費分を安くして保険に付け替えればいい」という料金調整の話ではない。住まいの必須機能として確立されている業務を、別の法体系である介護保険へ強引に引き剥がすことは、制度の整合性を根底から崩すことに他ならず、現場にも相当の混乱を招く。

光元
 そのため、既存の生活相談と新類型との役割整理が不可欠だ。事実、一部の自治体ではサ高住が特定施設へ転換する際、生活相談の業務が包括報酬に含まれることを理由に、自費で徴収していた費用を見直すよう指導している例もある。つまり、行政自体がこれまで、保険給付と自費の相談業務には重なりがあるという前提で動いてきたのではないか。

地域ケアマネは敬遠「囲い込み」助長

光元
 もう一つの懸念点として、地域の居宅介護支援事業所が、住宅型やサ高住の入居者の担当を敬遠する事態を危惧している。新類型を担うには新たな事業指定が必須で、さらには利用者負担の導入に伴い、ケアマネジャーには未知の「集金業務」まで発生する。地域で多数のケースを抱えるケアマネが、特定の物件に住む数人のために複雑なオペレーションを引き受けるのは現実的に困難ではないか。地域包括支援センターも例外ではないだろう。結果として、入居者は馴染みのケアマネから切り離され、これまで問題視されてきた「囲い込み」をむしろ助長する形になりかねない。利用者負担を回避しようと、不適切なセルフケアプランが横行するおそれもある。

木村
 集合住宅におけるケアマネジメント業務は、ホーム側が生活相談や家族との連絡調整などを日常的に担っている分、一般の在宅と比べれば実務上の負荷が抑えられている面があることは否定しない。であれば、新類型を強引に創設せずとも、現行制度の延長線上で同一建物減算の区分を精緻化し、単価を下げる代わりに取り扱い件数の上限を緩和するといった、実態に即した適正化の方法もあるはずだ。

 我々の主張は、ケアマネジメントへの利用者負担導入を一律に拒むものではない。しかし、国が示す新類型のイメージは現場の実務と乖離し、入居者との信頼関係を損なうおそれがある。住宅型有老とサ高住の定員数は60万人を超え、特養に匹敵するインフラになっている。影響の大きさからも、現時点では、十分な合理性を見出すことが難しい。

 事業者が納得し、現場の実態を踏まえた実効性のある仕組みが示されるまで、引き続き意見表明を行っていく。
(シルバー産業新聞2026年2月10日号)

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