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大人用紙おむつ市場 着実な拡大みせる展開

大人用紙おむつ市場 着実な拡大みせる展開

 11年1~12月の大人用おむつの生産数量は12・5億枚で、対前年比106%だった。このうち、テープ止めタイプは4・6億枚で同103%、パンツタイプは7・9億枚で同108%で、パンツタイプを中心にした伸びが続いている。フラットタイプは2・3億枚で同91%で、パンツ型の出現で利用が減っている。

 パッド類は、尿取りパッドは30億枚で同103%だが、軽失禁パッド・ライナーが12・5億枚で同124%と高い伸び率を示している。おむつ本体+尿取りパッドの使用方法が、施設から在宅への展開している証である、軽失禁パッドの伸びは、これまで恥ずかしくて利用に戸惑っていた中高年層が、多様で高性能な製品の出現によって利用が顕在化したことが分かる。

高分子吸収材製造工場事故の影響

 おむつには尿を吸収するために70年代後半から高吸収性ポリマー(SAP)が使われるようになり、薄型のおむつ開発が可能になった。9月末、SAPやその原料であるアクリル酸のトップメーカーである日本触媒姫路工場でアクリル酸の貯蔵庫が爆発し、おむつに使用するSAPの供給にも遅れがでるおそれが出てきた。おむつメーカー各社は国内外の供給ルートを広げる対応を図っており、現時点ではそうした懸念は起こっていない。

日衛連の需要予測

 日本衛生材料工業連合会(天田忠正会長)は昨年、大人用紙おむつ全体の需要を10年~14年の5年間で19%増の伸張があると予測した。11年→14年の伸び予測値は、テープ止め4・6億枚→5・2億枚、パンツ7・6億枚→8・9億枚、フラット2・3億枚→1・5億枚、尿取りパッド31・0億枚→36・9億枚、軽失禁パッド・ライナー11・6億枚→17・3億枚。

 近年の傾向として、SAPの活用などにより、おむつの重量が変化が見られ、おむつ本体は1枚当たり99・0g→92・5gに減ったのに対して、フラット・尿取りパッドは尿の吸収量の増大などのために、逆に1枚46・7g→49・7gに増えた。

 布おむつから紙おむつへの転換率については、10年度の実績で対象人口は203・7万人で転換率は85・0%、これが15年には236・4万人で転換率87・5%になると予測する。

医療費控除の対象

 大人用紙おむつは、パッド類も含めて医療費控除の対象になる。条件として、納税者で、6カ月以上にわたり寝たきり状態とあり、医師によりおむつの使用が必要と認められた者。確定申告には、医師が発行する「おむつ使用証明書」とおむつ購入時の領収書(使用者の氏名が書かれたもの)が必要。1~12月までの1年分を、他の医療費と合わせて、翌年の確定申告時期に税務署に申告する。2年目以降は、要介護認定を受けている場合は、「おむつ使用証明書」に代えて、要介護認定時の「主治医の意見書の写し」または「市町村が確認した書類」を使用することができる。


(シルバー産業新聞2012年12月10日号)

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