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おむつ主原料SAP 供給への影響

おむつ主原料SAP 供給への影響

 紙おむつの高分子吸収体SAPの製造メーカーである日本触媒で9月29日に発生した事故で、同社のSAPやその原料であるアクリル酸の生産がストップ。SAPの世界的なトップメーカーの事故で、同社の生産停止が長引くと紙おむつの供給にも影響が出る。

 日本衛生材料工業連合会(天田忠正会長)は10月5日、その影響について、「流通在庫や原材料ストックを考慮すると、通常の消費・購入レベルでは供給に大きな影響はない」と文書を出した。

 日衛連の藤田直哉専務理事は、「SAPやアクリル酸は国内外に多数のメーカーがあり、紙おむつメーカー各社の多くは、以前から供給面のリスクヘッジのために複数メーカーからの原材料を仕入れており、直ちに紙おむつの供給に影響が出る状況にはない」と話した。

 日本触媒は年間47万トンのSAP生産をもち、世界のSAP生産量の3割程度を生産するトップメーカー。その他のSAPメーカーには住友精化、サンダイヤポリマーなどの日本メーカー、独BASFや独エボニックなどの海外メーカーがあり、各社は紙おむつメーカーにSAPを供給している。

 SAPは高吸水性ポリマー(SuperabsorbentPolymer)で、70年代後半に生理用ナプキンに、その後紙おむつにも使われるようになった。紙おむつに詳しい尾関二郎さん(元ネピアテンダー社長)によると、おむつの吸収材として、1gで吸収する水の量は、従来のパルプで4g、コーンスターチ(トウモロコシの粉)で6~8gであるのに対して、SAPは500~1000g程度にもなるという。ただし、尿には塩分があるため、実際には40~50倍の吸収量だと説明する。

 SAPの登場により、紙おむつは軽量薄型が可能になった。日本のおむつ生産数量(11年度)はパンツ型12・5億枚、フラット型2・3億枚に達していおり、SAPによる品質向上が大きな力になっている。

 多数の死傷者を出した日本触媒の事故はアクリル酸の中間貯蔵タンクの爆発によるもので、SAP製造ラインは損傷がない模様だが、10月末時点では、姫路市消防局より同社姫路製造所に対して危険物の取扱いの停止命令が解かれていない。

 「当面は各社ともSAP入手ルートを広げるなど手を打っており、十分にしのげる状況になっている。しかし、日本触媒のSAPやアクリル酸の供給停止が長期化するようであれば、行政等への働きかけも必要になるかも知れない」と、藤田専務は懸念を示した。

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