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ジェー・シー・アイ 「乗せる道具」から生活支援へ

ジェー・シー・アイ 「乗せる道具」から生活支援へ

 東北福祉大学の関川伸哉教授とジェー・シー・アイ(宮城県富谷市、大信田和義社長)は、高齢者用車いす「PS・1SMILE」を共同開発した。関川氏は「車いすはその人の活動を広げ、生活を再構築するための支援機器」と話す。利用者の身体に車いすを合わせることで、姿勢保持や足こぎ、立ち上がりを支え、ADL向上につなげることを目指した。

 開発の背景には、施設には予算などの制約があり、車いすが必ずしも利用者の身体に合っていない実態があると関川氏。姿勢の崩れを本人の問題だけでなく、用具の適合の問題として捉える必要を感じたという。

 ジェー・シー・アイ執行役員の渡部達也さんも、福祉用具納品の現場で同様の課題を感じていた。特に小柄な高齢女性は、標準的な車いすでは足が床に届きにくく、座面の奥行きも合わず、姿勢が崩れて座っている場面を多く見かけた。そこで関川氏は渡部氏に開発を呼びかけ、研究開発に着手した。

身体に合わせて調整足こぎ支援

 2011年には福祉医療機構の助成を受け、車いすを利用する高齢者300人以上の身体寸法を計測。必要な調整幅を統計的に検討し、試作と改良を重ねた。50回の改良生産会議を経て、22年に量産型「PS・1SMILE」が完成した。
 同製品は、座面高や奥行きなどを細かく調整し、足底が床に着く姿勢をつくる。座位が安定することで、下肢を使った足こぎや立ち上がり動作につなげやすい。

 バックサポートは円背などにも対応し、脊柱に沿って必要な部分を支える。身体を過度に包み込まず、本人が動ける余地を残す設計で、食事、嚥下、コミュニケーションへの好影響も期待できる。

 関川氏は「身体機能が低下しても、全く動けないわけではない。調整により、足こぎで食堂まで移動できた人もいた」と話す。職員が利用者の動ける力を再評価し、施設全体の自立支援に波及する効果もあったという。
車いす中央に介助バーを備え、力が伝わりやすい。横から利用者の顔を見ながら介助できる

車いす中央に介助バーを備え、力が伝わりやすい。横から利用者の顔を見ながら介助できる

 現在、同機器の利用者の割合は高齢者施設が多いが、在宅での効果も大いに期待でき、今後普及を拡大していく。渡部氏は「リハビリ職員や福祉用具専門相談員が適切に調整・活用できるよう研修を予定している。フィッティングできる人材を育て、自立支援につなげたい」と話す。

 問合せは同社(TEL022・745・1313)まで。

(シルバー産業新聞2026年7月10日号)

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