ワールドレポート
台湾の介護制度「長照3.0」退院支援、在宅チーム医療、スマート福祉用具貸与を一体で推進
台湾の高齢者介護が進展している。政府による高齢者介護10カ年計画の第3ステージ「長照3.0」(2026年〜2035年)が、今年スタートした。退院支援、自宅や介護施設での急性期治療対応、スマート福祉用具貸与などを推進する。台湾衛生福利部政務次長(日本の厚生労働副大臣にあたる)の呂建德(リュ・ジェンドゥ)氏に聞いた。
――長照3.0とは、どのような政策ですか。
台湾が2026年から進める、新たな長期介護政策の10カ年計画だ。台湾は高齢化の進行が速く、25年に65歳以上人口が20%を超え、超高齢社会に入った。長照3.0は、これまでの長照2.0で整えた地域の介護サービス基盤を土台に、医療、介護、在宅生活支援、家族介護者支援、看取り、介護人材育成を一体的に進める。
「健康老化」「在地安老」「安寧善終」を掲げ、健康に年を重ね、住み慣れた地域で暮らし続け、人生の最終段階まで本人らしく過ごせる体制を整えるという考え方だ。
――どのように変わるのですか。
これまで訪問介護、デイサービス、地域拠点、家族介護者支援などの基盤づくりが進んだ。その基盤をさらに発展させ、医療との接続を強めていきたい。
具体的には、退院後介護サービスへつなぐ仕組み、在宅医療、在宅急症照護、急性期後のリハビリ、施設の質向上、家族支援、スマート福祉用具、看取り、人材育成などを同時に進める。そのために医療と介護の連携を進めなければならない。
――医療・介護連携では、何を重視していますか。
大きな柱は、退院後の空白をなくすことだ。台湾では、長照1.0の時代には、退院後に長照のサービスへつながるまで平均51日ほどかかっていた。長照2.0ではこれを4日程度まで短縮した。さらに長照3.0では、2026年に2日以内とすることを目標にしている。病院から自宅や施設へ戻った直後に、訪問介護、「復能(リエイブルメント)」、福祉用具、移送サービスなどがすぐ入るようにめざす。
退院後の数日間は、本人の状態が不安定になりやすく、家族も不安を抱えやすい。ここに介護サービスが早く入れば、再入院の防止や家族負担の軽減につながると期待している。
――在宅・施設での急性期対応「在宅急症照護」とは。
肺炎や尿路感染症、軟部組織感染症など、急性感染症を発症した人は、入院治療が必ずしも必要とは限らないことから、自宅や介護施設で医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などが医療を提供する仕組みだ。
医療チームが自宅や施設を訪問し、静脈抗生物質治療やベッドサイド検査などを行う。24年7月から26年4月末までに192チーム、873医療機関が参加し、延べ7788人にサービスを提供、その9割の人が治療を完了した。
――その効果を教えてください。
急性期の治療でも、一定の患者は病院に入院しなくても、自宅や施設で安全に治療を終えられる可能性を示している。在宅・施設で治療を完了し、平均介護日数が7日程度で済んだ。従来は、肺炎、尿路感染、軟部組織感染などを発症した場合、入院が基本になりやすかった。しかし、医師が病状を見極め、看護師と臨床検査技師らが協働して対応し、必要な抗生剤治療や検査を在宅・施設で行えるなら、入院を避けられるケースがある。
――長照3.0と在宅急症照護は、どうつながるのですか。
在宅急症照護は医療保険の取組みだが、その後の生活を支えるには長期介護との連携が欠かせない。急性期の治療が終わっても、高齢者にはその後の生活支援が必要になることが多い。
たとえば、体力が落ちた人には生活機能の回復をめざす訓練が必要。排泄や入浴が難しくなれば介護サービスが必要だ。転倒リスクが高ければ、手すりの設置や歩行器の導入、見守り機器の活用など、福祉用具による支援が必要となる。長照3.0では、在宅急症照護の対象者情報を長照サービスにつなぎ、ケアプランの見直しや介護サービス調整を早めることが重要になる。
――スマート福祉用具貸与について。
今年7月1日から在宅向けのスマート福祉用具レンタル制度を導入する。対象は、移動、移乗、入浴・排泄、在宅介護ベッド、安全見守りの5分野。3年間で6万台湾ドル(約30万円)の補助枠を設け、購入ではなくレンタルで利用できるようにする。日本の福祉用具貸与制度を参考にし、利用者の身体状況や介護ニーズの変化に応じて、適切な用具に交換できるようにしていく。
台湾が2026年から進める、新たな長期介護政策の10カ年計画だ。台湾は高齢化の進行が速く、25年に65歳以上人口が20%を超え、超高齢社会に入った。長照3.0は、これまでの長照2.0で整えた地域の介護サービス基盤を土台に、医療、介護、在宅生活支援、家族介護者支援、看取り、介護人材育成を一体的に進める。
「健康老化」「在地安老」「安寧善終」を掲げ、健康に年を重ね、住み慣れた地域で暮らし続け、人生の最終段階まで本人らしく過ごせる体制を整えるという考え方だ。
――どのように変わるのですか。
これまで訪問介護、デイサービス、地域拠点、家族介護者支援などの基盤づくりが進んだ。その基盤をさらに発展させ、医療との接続を強めていきたい。
具体的には、退院後介護サービスへつなぐ仕組み、在宅医療、在宅急症照護、急性期後のリハビリ、施設の質向上、家族支援、スマート福祉用具、看取り、人材育成などを同時に進める。そのために医療と介護の連携を進めなければならない。
――医療・介護連携では、何を重視していますか。
大きな柱は、退院後の空白をなくすことだ。台湾では、長照1.0の時代には、退院後に長照のサービスへつながるまで平均51日ほどかかっていた。長照2.0ではこれを4日程度まで短縮した。さらに長照3.0では、2026年に2日以内とすることを目標にしている。病院から自宅や施設へ戻った直後に、訪問介護、「復能(リエイブルメント)」、福祉用具、移送サービスなどがすぐ入るようにめざす。
退院後の数日間は、本人の状態が不安定になりやすく、家族も不安を抱えやすい。ここに介護サービスが早く入れば、再入院の防止や家族負担の軽減につながると期待している。
――在宅・施設での急性期対応「在宅急症照護」とは。
肺炎や尿路感染症、軟部組織感染症など、急性感染症を発症した人は、入院治療が必ずしも必要とは限らないことから、自宅や介護施設で医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などが医療を提供する仕組みだ。
医療チームが自宅や施設を訪問し、静脈抗生物質治療やベッドサイド検査などを行う。24年7月から26年4月末までに192チーム、873医療機関が参加し、延べ7788人にサービスを提供、その9割の人が治療を完了した。
――その効果を教えてください。
急性期の治療でも、一定の患者は病院に入院しなくても、自宅や施設で安全に治療を終えられる可能性を示している。在宅・施設で治療を完了し、平均介護日数が7日程度で済んだ。従来は、肺炎、尿路感染、軟部組織感染などを発症した場合、入院が基本になりやすかった。しかし、医師が病状を見極め、看護師と臨床検査技師らが協働して対応し、必要な抗生剤治療や検査を在宅・施設で行えるなら、入院を避けられるケースがある。
――長照3.0と在宅急症照護は、どうつながるのですか。
在宅急症照護は医療保険の取組みだが、その後の生活を支えるには長期介護との連携が欠かせない。急性期の治療が終わっても、高齢者にはその後の生活支援が必要になることが多い。
たとえば、体力が落ちた人には生活機能の回復をめざす訓練が必要。排泄や入浴が難しくなれば介護サービスが必要だ。転倒リスクが高ければ、手すりの設置や歩行器の導入、見守り機器の活用など、福祉用具による支援が必要となる。長照3.0では、在宅急症照護の対象者情報を長照サービスにつなぎ、ケアプランの見直しや介護サービス調整を早めることが重要になる。
――スマート福祉用具貸与について。
今年7月1日から在宅向けのスマート福祉用具レンタル制度を導入する。対象は、移動、移乗、入浴・排泄、在宅介護ベッド、安全見守りの5分野。3年間で6万台湾ドル(約30万円)の補助枠を設け、購入ではなくレンタルで利用できるようにする。日本の福祉用具貸与制度を参考にし、利用者の身体状況や介護ニーズの変化に応じて、適切な用具に交換できるようにしていく。
(シルバー産業新聞2026年7月10日号)


