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大分県の介護保険 介護テクノロジー・ノーリフティングケアを強力に推進

大分県の高齢者人口は約37万5000人であり、今年をピークに減少へ転じる。高齢化率は約34%と全国12位の高い水準にあり、今後も増加を続け、2050年には4割を超える。
6つの医療・介護圏域のうち、大分市を含む比較的若い世代が多い中部圏域でも高齢化率30.1%と高齢化と人口減少が進み、中山間地域の多いその他の地域においては、高齢化がさらに加速する。
介護への需要が増える一方、介護人材は、26年時点でおよそ1300人不足するとされ、喫緊の課題として対策が進む。

8割以上の施設でテクノロジー導入
県では以前より、介護ロボット・ICT機器活用、ノーリフティングケアの推進に注力しており、23年度から25年度の3年間で、特養や老健など、全ての入所型施設に介護ロボットを導入するという目標を設定。直近では全196施設中、167施設(約85%)で、見守りセンサーを中心に、移乗支援ロボットなどの機器が導入されている。
国の補正予算も活用し、年々、介護ロボット・ICTの導入支援予算を増額。昨年度は、当初予算2億4000万円に対し、補正予算で1億5000万円を追加した。今年度は当初予算3億100万円に対し、補正予算で1億200万円を上乗せする。
「全国平均より10年以上も早く高齢化が進行している。限られた人員で質の高いサービスを提供できる体制の構築が急務。導入希望にしっかり応えられるよう予算を確保している」と高齢者福祉課長の渡邉康弘さんは説明する。
機器が未導入の施設を優先して導入を促し、すでに導入済みの施設から追加の希望があれば、適時、支援を行っている。
「自己負担が発生するため、施設の経営状況にも配慮しつつ、職員の負担軽減や業務効率化といったテクノロジー活用の高い効果を訴えていきたい。少しでも働きやすい職場環境の整備を目指している」(渡邉さん)
国の補正予算も活用し、年々、介護ロボット・ICTの導入支援予算を増額。昨年度は、当初予算2億4000万円に対し、補正予算で1億5000万円を追加した。今年度は当初予算3億100万円に対し、補正予算で1億200万円を上乗せする。
「全国平均より10年以上も早く高齢化が進行している。限られた人員で質の高いサービスを提供できる体制の構築が急務。導入希望にしっかり応えられるよう予算を確保している」と高齢者福祉課長の渡邉康弘さんは説明する。
機器が未導入の施設を優先して導入を促し、すでに導入済みの施設から追加の希望があれば、適時、支援を行っている。
「自己負担が発生するため、施設の経営状況にも配慮しつつ、職員の負担軽減や業務効率化といったテクノロジー活用の高い効果を訴えていきたい。少しでも働きやすい職場環境の整備を目指している」(渡邉さん)
現場を知る伴走支援
1993年には、全国に先駆けて「大分県社会福祉介護研修センター」を開設。介護事業所への研修や一般の人が介護を体験できるコーナー、福祉用具の展示などを開始した。
昨年度からは研修センター内に「介護DXサポートセンター」を開設し、現在、現場経験のあるリハビリ専門職を中心に3人のアドバイザーが在籍し、テクノロジー活用やノーリフティングケアの推進に取り組む。
「現場を理解し、かつICTやロボット技術にも精通していなければ、効果的な導入支援は難しい。導入に際しては、どのような機器が必要かというアドバイスも行っており、ノウハウの蓄積も進んでいる」と渡邉さんは述べる。ノーリフティングケアの推進も「以前はリフト機器が国の補助対象外であったため、県独自の予算で導入支援を行っていた。昨年度からリフトも補助対象となり、職場環境の改善が期待される」(渡邉さん)。
昨年度からは研修センター内に「介護DXサポートセンター」を開設し、現在、現場経験のあるリハビリ専門職を中心に3人のアドバイザーが在籍し、テクノロジー活用やノーリフティングケアの推進に取り組む。
「現場を理解し、かつICTやロボット技術にも精通していなければ、効果的な導入支援は難しい。導入に際しては、どのような機器が必要かというアドバイスも行っており、ノウハウの蓄積も進んでいる」と渡邉さんは述べる。ノーリフティングケアの推進も「以前はリフト機器が国の補助対象外であったため、県独自の予算で導入支援を行っていた。昨年度からリフトも補助対象となり、職場環境の改善が期待される」(渡邉さん)。

実効性のある職場認証を推進
22年からは、働きやすくやりがいのある職場を県が認証する「ふくふく認証」制度を開始。評価を見える化することで業界全体の底上げと人材確保を図っている。
認証要件には介護ロボットやICT活用、ノーリフティングケアの推進、新規採用者の育成やキャリアパス制度などが含まれ、先月末時点で28法人が認証を受けている。
「実効性のある制度としたいため、認証のハードルは高い。現場の努力を促し、基準をクリアしてもらえるよう、さまざまな支援を続けていきたい」と渡邉さんは語る。
認証要件には介護ロボットやICT活用、ノーリフティングケアの推進、新規採用者の育成やキャリアパス制度などが含まれ、先月末時点で28法人が認証を受けている。
「実効性のある制度としたいため、認証のハードルは高い。現場の努力を促し、基準をクリアしてもらえるよう、さまざまな支援を続けていきたい」と渡邉さんは語る。
日本一の通いの場
県では、高齢者の介護予防や健康づくりを目的として、10年以上前から地域での「通いの場」づくりに注力してきた。立ち上げを希望する住民がいれば、理学療法士、作業療法士、管理栄養士などの専門職を派遣し、運動や栄養面での支援を続けてきた。県独自に開発した介護予防体操「めじろん元気アップ体操」は全国への普及が進む。
県内で3088カ所設置されており、参加率は10年連続で全国1位。直近の高齢者人口に対する参加率は15.2%に達し、全国平均の6.2%を大きく上回る。
県内で3088カ所設置されており、参加率は10年連続で全国1位。直近の高齢者人口に対する参加率は15.2%に達し、全国平均の6.2%を大きく上回る。

全市町村で通所Cを実施
生活機能が低下している高齢者を対象に3~6カ月間、短期集中的に運動や栄養改善のプログラム等を提供し生活機能改善を目指す短期集中予防サービス(通所型サービスC)に力を入れてきた。
健康寿命の延伸に資する取組として、県内の専門職と連携しながら普及を進め、現在、全国で唯一、県内の18市町すべてにおいて通所型サービスCが実施されている。県の調査では、短期集中予防サービスを利用した人の約8割が、自立に向けて改善(維持)しており、サービスの有効性も確認している。
20年には、県とオムロン(京都市、辻永順太社長)が連携協定を締結し、ICTを活用した自立支援のモデル事業を本格的に開始。主に改善の可能性が高い総合事業対象者や要支援1、2の人を対象とし、生活情報等の聞き取り結果を分析して自立支援に資するサービスを提案する等、ケアマネジャーへの支援を行う。現場の市町村や地域包括支援センターでの活用が進められている。
「人口減少と高齢化が進む中、地域の支え合いや活性化がますます重要となる。今後も、働きやすい介護現場の整備と、健康寿命日本一を目指した介護予防への取り組みを継続していく」と渡邉さんは語る。
健康寿命の延伸に資する取組として、県内の専門職と連携しながら普及を進め、現在、全国で唯一、県内の18市町すべてにおいて通所型サービスCが実施されている。県の調査では、短期集中予防サービスを利用した人の約8割が、自立に向けて改善(維持)しており、サービスの有効性も確認している。
20年には、県とオムロン(京都市、辻永順太社長)が連携協定を締結し、ICTを活用した自立支援のモデル事業を本格的に開始。主に改善の可能性が高い総合事業対象者や要支援1、2の人を対象とし、生活情報等の聞き取り結果を分析して自立支援に資するサービスを提案する等、ケアマネジャーへの支援を行う。現場の市町村や地域包括支援センターでの活用が進められている。
「人口減少と高齢化が進む中、地域の支え合いや活性化がますます重要となる。今後も、働きやすい介護現場の整備と、健康寿命日本一を目指した介護予防への取り組みを継続していく」と渡邉さんは語る。
(シルバー産業新聞2025年4月10日号)