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徳島県の介護保険 第9期も人材不足が大きなテーマ

徳島県の介護保険 第9期も人材不足が大きなテーマ

2022年10月1日時点での徳島県の総人口は約70.4万人で65歳以上の高齢者人口は約24.6万人、高齢化率34.9%と全国平均29.0%を上回る。40年には高齢化率41.7%まで上昇し、生産年齢人口は49.6%と65歳以上の高齢者1人を約1.2人の現役世代が支えることとなる。

中山間部、南部沿岸で高齢化進む

 同県は大きく東部、西部、南部の3つの圏域に分かれており、剣山に代表される四国山地に位置する西部圏域と南部圏域の太平洋に面した地域では、過疎化が進み高齢化率は40~50%台。特に県南部の海沿いにある牟岐(むぎ)町は県内最高の高齢化率55.5%に上る。一方、東部の徳島市と鳴門市の間に位置する北島町は、ベッドタウンとして若い世代が集住し25.9%と最も低い値となっている。

 介護資源に関しても、人口の集中度合いによって偏在する傾向にある。在宅サービスについては、各地域の民間の事業所と社協が協力してサービスの充足に努めている。しかしながら、要介護度が高くなり在宅での生活が難しくなった場合は、都市部の施設系サービスを利用してもらうことが多いのが現状だ。

合議体を設置、地域ケア会議の場に専門職を派遣

 県では65歳以上人口がピークを迎える20年を目途に地域包括ケアシステムの構築を進めるため、市町村や介護事業者等関連団体による会議を実施し、課題検討や情報共有を行ってきた。

 また、専門職団体と連携し、各自治体の要望に応じて、地域ケア会議の場に専門職の派遣を行い支援の充実を図っている。具体的には、県の介護支援専門員協会から専門知識のある人や、権利擁護などのため弁護士のほか、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士などの派遣実績がある。

認証制度を開始、働きやすい職場のアピールに

 介護人材確保に関しては、新規入職者の合同入職式を行い、事業所の垣根を超えた職員同士のネットワークづくりを進めモチベーションを高めてもらえるよう取り組んでいる。

 また、昨年度から職場環境改善・人材育成の観点から事業所の認証評価制度を開始。職員のキャリアパスの仕組み作りなど良好な職場環境づくりへの取り組みに対し県が審査を実施する。これまでに15事業所が認証され、県のホームページでの公開や認証書およびロゴマークの交付などを行っている。働きやすい職場であることをアピールし、新たに介護業界を志す人たちの参入につなげる。

介護助手・外国人人材の活躍に期待

 介護専門職の負担軽減を目指し、部屋の掃除や食事の片付け、シーツ交換などの周辺業務に従事する介護助手制度の普及にも取り組んでいる。シニア世代に対し募集を行い、22年度には県内で286人が介護助手として試行的に雇用された。実際に働き始めた人からは、社会参加や収入が得られるといった声が聞かれており、引き続き制度の普及に努める。

 また、外国人介護人材の活躍にも期待しており、県として外国人介護人材の受け入れやマッチング、県内の介護施設等への定着に向けた環境整備などについてセミナーを行っている。採用にあたっての情報提供から定着に至るまでの一貫したサポート体制の充実強化を図り、外国人人材の円滑な就労・定着につなげることを目指している。

介護ロボット・ICT導入支援を推進

 22年度は26法人40事業所に対し、計205台の介護ロボットを導入し、約3900万円の補助を行った。また、ICTに関しても33法人68事業所への導入を行い約6600万円の補助実績がある。

 内訳としては、職員の負担軽減につながる見守り機器や介護ソフトなどの申請が多かった。現場の業務効率化に向けて、24年度は介護現場の生産性向上の促進に資するワンストップ型の総合的な支援の実施も予定している。

フレイル予防に低栄養の改善を啓発

 人材確保と職場環境整備と併せて重要なのが、高齢者の要介護度の重度化の防止だ。県では19年より、県民総ぐるみによるフレイル予防に取り組んでいる。

 通いの場でのフレイルチェックや、ケーブルテレビでの低栄養予防・フレイル予防体操・社会参加への呼びかけなども実施。特に栄養の観点からの支援に力を入れており、スーパーなどで手軽に買えるインスタント食品や総菜などを活用してバランスの良い食事を摂ることのできるレシピを冊子で紹介している。

 また、地場の食品スーパーマーケットのキョーエイと県栄養士会と協力し、栄養価の高いバランス弁当を開発。今月初旬に県内のキョーエイ9店舗で販売を行う。

第9期においても人材不足は大きな課題

 今後県ではますます、全国と同様に介護人材不足が大きな課題となるが、生産年齢人口が減り他業種との競合もある中、抜本的な対策は難しい状況にある。

 そのような中、第9期においても、介護ロボット・ICT導入などによる職場環境改善や県民の健康増進などに従事し、地域に応じた介護サービスの継続に取り組む。

(シルバー産業新聞2024年2月10日号)

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