ニュース

介護生産性向上総合相談センター 16都道府県で開設済

介護生産性向上総合相談センター 16都道府県で開設済

 改正介護保険法の施行により、都道府県の努力義務として介護現場の生産性向上の促進に向けた取組が求められるようになった。そのカギを握る都道府県の介護生産性向上総合相談センター(ワンストップ窓口)開設を支援するため、国は2023年度より、地域医療介護総合確保基金メニューとして都道府県支援のための「介護生産性向上推進総合事業」を始めた。国の策定したKPI(目標達成プロセスの進捗管理)では「26年度までに47都道府県でワンストップ窓口を開設済」としている。同窓口の設置状況について、本紙が5月下旬に実施した聞き取り取材では「今年度中(2025年3月末)までの開設予定」が31都道府県。そのうち、東京都や大阪府、愛知県など16都道府県はすでに開設済と回答した。目標達成に向けた取組が加速している。

 介護生産性総合相談センターは、各都道府県に設置される「介護現場革新会議」(福祉関係者、中小企業支援や雇用、教育などの多様な関係者・有識者等で構成)の方針に基づき▽介護現場改革の相談・取組方針(計画)の策定支援▽介護助手採用などの業務仕分け支援▽介護施設現場に出向いての伴走支援▽家族介護者を含む介護に関する講演・セミナーの定期開催▽介護ロボット・ICTなどのテクノロジー機器の紹介・展示体験・貸出――など、介護現場・メーカーと各種団体・機関との橋渡し役が期待される。

 介護ロボット・ICT普及促進にとどまらず、介護人材不足の解消・定着のための職場改革や、介護の仕事の魅力発信、腰痛予防や負担軽減のための福祉用具活用を含むテクノロジー導入・定着のための伴走型支援などが構想されている。

社協や関連団体・組織への委託運営が中心

 開設済の16都道府県は、直轄の宮城県を除きいずれも運営委託方式による実施。

 社会福祉協議会への委託が6道県(共同運営を含む)と最多で、次いで介護労働安定センター4県(共同運営を含む)、NTTデータ経営研究所2府県(共同運営)となった。全都道府県に必置の社会福祉協議会や、全国に支部網を展開する関連団体への委託が多かった。

 県担当者の多くは「現場から生産性向上の関心は日々高まっている。国の求める理想形ではなくても、必須事項を満たして今年度中に開設する。そして次年度以降も機能を充実させていく」と逐次機能充実を目指すとした。

 東京都の都保健福祉財団や、神奈川県のかながわ福祉サービス振興会および横浜市総合リハビリテーションセンター、大阪府のATCエイジレスセンター、兵庫県の県立福祉のまちづくり研究所など、リハビリテーションセンターや福祉介護相談窓口、介護ロボット常設展示場などが所在する都府県は、比較的スムーズに開設に結びつけることができた。

 山形県では、介護ロボットやICT活用の介護事業所運営のほか、外国人介護職の採用・研修支援、介護施設経営コンサルタントなどを行う地元営利法人のエミオン(山形県天童市、伊藤順哉社長)に委託した。

相談業務を支える人材確保が課題

 一方で、今年度中の開設ができない(難しい)と回答した県の多くは「専門的に相談できる人材確保の難しさ」を挙げる。

 介護ロボットやICT機器、福祉用具などのテクノロジー活用の専門的知識と共に、介護現場の経験・ノウハウに基づく介護職員の働きやすい職場づくりなど、現場も分かるコンサルティングのできる人材の確保の難しさを理由に挙げた。

 「おそらく国のKPI最終年の26年度開設となる。これから他都道府県の取組状況や好事例などを参考に、機能充実のワンストップ窓口を目指す」(栃木県)、「地理的に周辺の専門家の招聘が難しい。県内での専門家養成や、人材確保のための検討を続ける」(沖縄県)など、地域事情を勘案しながら、KPI最終年までに開設に結びつけることを目指す。

(シルバー産業新聞2024年6月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル