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徳島県老人福祉施設協議会 経営は危機的状況 やれることはすべてやる

徳島県老人福祉施設協議会 経営は危機的状況 やれることはすべてやる

 徳島県老人福祉施設協議会は1977年に設立し、現在、198施設が加入している。人材不足や物価高騰により、厳しい経営状況が続く中、県での状況につき大塚忠廣会長に聞いた。

 徳島県でも介護人材不足は深刻だ。全産業と7万円近い賃金差がある状況では、求人を出しても選択肢から外れてしまう。

 そのような中にあるが、介護職の魅力を知ってもらうために中学・高校生を対象としたインターンシップを開催している。昨年も冬休みを利用して、当会の会員施設で食事や入浴介助を1日体験してもらった。34人の参加者からは、「実際に体験することで仕事の内容がわかった」との声が聞かれ啓発に繋がったと思う。

 また、FM徳島で週1回、若手介護職員がラジオ番組「GO!GO!KAIGO~だから介護はやめられない~」で介護の魅力を発信している。夕方の放送であり、通勤途中など多くの人に聞いてもらうことができた。さらに今年は、新型コロナで中止していた介護フェスタを4年ぶりに開催し、多くの人に立ち寄ってもらえた。

物価高騰・待機者不足が深刻化

 現状、報酬の上乗せがあっても水光熱費や人件費を賄うことも難しく、経営は危機的な状況にある。徳島市がある東部では特に施設数が多い。75歳以上の高齢者人口は増えてきたが、待機者がおらず、稼働率も9割を満たさず赤字となるケースも見られる。

 入居要件である介護認定が厳しくなったという話や、有料老人ホームとの競合もある。一方で、比較的施設数が少ない西部や南部の入居者はあまり減っておらず、地域差の影響もあるかもしれない。

 耐用年数になり建て替えの時期を迎える施設も増えている。しかし、物価上昇前の基準の補助金では、借入れを含めて費用を負担しきれない状況だ。県への要望を出しているが助成金には限界がある。国による報酬改善がなければ対処できない。

BCP対策の備蓄はさらに必要

 BCP策定に関しては、3日分の食料備蓄を含め整備が進んでいる。しかし、今回の能登半島地震の状況などを踏まえると最低でも7日分程度は必要だと考えている。徳島県は大きな川が多く、津波などで橋が倒壊すると交通が大幅に妨げられる。河川沿いの施設では垂直避難をどれだけ迅速に行えるかが重要になるだろう。

職員の負担軽減、介護の質向上を目指す

 ICT・介護ロボットについては、カメラやセンサーなどの見守り機器を活用し、職員の負担軽減・介護の質向上を目指す施設が増えている。また、タブレット活用による介護記録などは大幅に業務改善につながる。

 一方で、導入には多額の資金が必要となる。県の補助金もあるが、なかなか採用されないと会員からの声が聞かれる。当会としても更なる拡充を求めたい。
(シルバー産業新聞2024年2月10日号)

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