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送迎車を保険外利用した「AI配車」  MWS日高

送迎車を保険外利用した「AI配車」  MWS日高

 群馬県内で通所介護13カ所を運営するエムダブルエス日高(高崎市、北嶋史誉社長)は、送迎車両を活用した移送サービスの実証事業を昨年11月より行っている。出発地・目的地を入力すれば、人工知能(AI)が最適な送迎車両を瞬時に判断・手配する。「デイを利用しない日の外出支援、機能訓練等で利用できる」と北嶋社長は話す。

北嶋史誉社長

北嶋史誉社長

 総務省の「戦略的情報通信研究開発推進事業」(SCOPE)として実証中の同システムは、はこだて未来大学が開発した「Smart AccessVehicle System」(SAVS)と、エムダブルエス日高の送迎システム「福祉Mover」を連動させたもの。SAVSは、時間・ルートを固定せず、AIがリアルタイムで乗合い車両の配車、走行ルートを決定する。また、福祉Moverは送迎計画書の作成、複数のデイ利用者を送迎する際の配車分けや最適コースの選択を行い、効率的な送迎を支援する。

 実証事業は同社大規模デイ「太田デイトレセンター」(太田市、定員258人)の利用者が対象で、非通所日の外出手段として提供している。利用者は専用アプリで出発地と目的地を入力するだけ。同デイ38台の送迎車両のうち、送迎中で動いているものの中から、出発地までの距離や目的地へのルート、現在送迎中の人数等の条件をもとに、AIが最適な車両を判断する。

 該当車両のドライバーには迎車の指示が入り、利用者には配車番号と到着時間を通知。その日にデイを利用している人との相乗りとなる。1月からは距離・時間帯に関係なく1回300円で提供。実証事業は3月で終了だが、サービス自体は4月以降も継続する見込みだ。

 北嶋社長は「たとえ週2回の通所日に機能訓練を頑張っても、非通所日の5日間を家で寝転んで過ごしていてはADLが改善しない」と強調。「それを防ぐための『足』をつくった。非通所日に家を出て、買い物や子・孫の家へ遊びに行く。間違いなくADLの訓練になる」と述べる。

 タクシードライバーの高齢化、それに伴うタクシーの減車も同サービス導入の背景にあると同社長。「複数のデイが協力すれば、将来的には公共交通、タクシーに次ぐ第3の交通網になり得る。他地域からの引合いも多く、ニーズは高い」と期待を寄せる。

(シルバー産業新聞2019年3月10日号)

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