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岐阜県リハビリテーション協議会 県と協定 災害支援リハ体制を強化

岐阜県リハビリテーション協議会 県と協定 災害支援リハ体制を強化

 一般社団法人岐阜県リハビリテーション協議会(柴貴志会長、会員約2400人)は県内の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が加盟する団体。リハビリ専門職間の情報共有、地域リハビリ、介護予防事業の受託や災害時リハビリ支援などを主な活動としている。「一職種だと対応が限定的になりやすい。地域や社会に入っていきやすい窓口体制が必要だと考えた」と柴会長(作業療法士)は述べる。

 災害時リハビリ支援に関しては今年7月に岐阜県と協定を締結。自県で発災があった際に、県の要請に基づき同協議会の「災害リハビリテーション推進対策部」が災害対策本部を設置し、災害時リハビリの支援活動や他県からの支援受入れ、業務調整などを迅速かつ適切に行うことを目的とする。平時は県内の災害リハビリの認知度向上や対応人材の育成に取組む。一方、県は有事における他団体との活動の調整、活動費の弁済や保険加入を行う。

 「災害現場でのリハビリの役割は、主に生活不活発病の予防や、生活環境の評価・調整」と柴会長。エコノミー症候群、フレイル予防に向けた集団体操、また支援が必要な高齢者・障がい者がいる場合は、例えばトイレまでの動線、トイレ内の立ち座りに支障がないかをチェックし、福祉用具も含めた生活環境の応急対応を行う。

 具体的には、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)の各地域チームが活動。医師+リハビリ職(1~3職種)で構成し、発災1週間後のタイミングで入ることが多い。先陣部隊が各避難所のリハビリ支援のニーズを把握後、必要な派遣先とチーム数を指示する。

支援不足を痛感した能登半島地震

 今回の協定締結に至った背景が、1月の能登半島地震。岐阜JRATは第一陣チームの派遣を準備していたが、県知事からの派遣要請がなかった。柴会長は「災害時リハビリへの意識づけが不十分だった。その後活動には加わったが、被災地の隣県でありながら遅れをとった」と悔やむ。

 県内JRATのチーム不足も実感したと柴会長。現在、県内5圏域で計12医療機関を「災害リハ拠点病院」とし、その施設から派遣チームを構成する構図であった。石川県の被災地では1日10チーム以上が活動。1チームの活動日数は3日。うち岐阜県が派遣できたのは4チーム。「活動は4月頃まで続いた。今の体制だと現地での継続した支援活動は難しい。仮に自県で災害があった際に対応は非常に困難で、他県に依存せざるを得ないだろう」。

 今回の協定締結に伴い、県JRATの事務局が同協議会に移管。より迅速な動きが今後は期待できるという。また、2016年の熊本地震後、協議会独自に策定した「岐阜県災害時認定セラピスト」の指定研修もコロナ禍で休止していたが、人材育成に向け再始動させる方針だ。

 柴会長は「地域・社会貢献もリハビリの役割であり、災害支援もその一つ。こうした専門職のアイデンティティを高めていくことが最も大切」と強調。「日常業務を離れての活動となるため、勤務先の病院や施設にも理解を求めていかなくてはならない」と述べた。
(シルバー産業新聞2024年11月10日号)

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