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介護付有料「愛広苑壱番館」(新潟市) より良い入浴介助のための介護テック活用へ

介護付有料「愛広苑壱番館」(新潟市) より良い入浴介助のための介護テック活用へ

 医療法人愛広会(新潟市、池田弘理事長)が運営する介護付有料老人ホーム愛広苑壱番館(新潟市、全床個室90床、平均要介護3)は、手厚い介護を提供しながらも早くから介護テクノロジーを導入することで2.5対1以上(常勤換算)を達成している。直近では入浴でも利用者の満足度を高めるために、特殊浴槽とウルトラファインバブル発生装置「ピュアット」(金星=東京都千代田区、石井一史社長)を組み合わせ、職員の負担軽減と皮膚の脆弱な利用者でもこすり洗いのない快適な洗体を実現した。

 愛広苑壱番館は24時間365日体制で看護師が常駐しており、医療体制が充実。1階には内科診療所と調剤薬局が併設され、介護と医療を両面からサポートする。

 手厚い介護を提供するために、2対1で対応する施設も多い中、同施設では早くから介護テクノロジーを導入し、2.5対1以上(常勤換算)を維持している。

 理学療法士でケア統括部長の篠澤毅泰氏は「法人トップを含め、介護テクノロジー活用に対する理解があった。24年介護報酬改定で、職場環境改善(生産性向上)を検討する委員会設置が義務付けられる前から、利用者のサービス向上と職員の負担軽減の必要性を検討してきた」と話す。

 介護リフトのほか、すでに見守りセンサー・インカム・ICT機器を導入。生産性向上推進体制加算Ⅱは算定済で、いずれは上位加算のⅠの取得も検討しているという。篠澤氏は「腰痛が減り、専門職としてのケアができるようになるなどモチベーション向上につながり、離職率低下に至っている」と取り組みの成果を語る。

微細泡発生装置で職員負担減

 成功体験から「もっと改善できることがあるのではないか」という施設内の雰囲気も高まる中で、介護職からは入浴介助の負担軽減を求める声が上がった。

 寝たまま入浴できる特殊浴槽は導入済だったが、法人の代表メンバーで参加した昨年の展示会で、ウルトラファインバブル発生装置「ピュアット」(金星製)に強い関心をもった。

 同機器のホースを浴槽に入れてスイッチを押すと、お湯が循環。ウルトラファインバブルと呼ばれる直径0.001㎜以下の微細な泡が生成される。お湯につかると、その泡が身体の汚れを除去するため、従来のこすり洗いが不要に。利用者の肌の負担を減らすとともに、入浴介助の時間や介護負担を削減することができる。

 「こすり洗いなしでも毛穴汚れまできれいに洗浄できると感じ、利用者の快適さと職員の負担軽減につながると確信した。看護師など褥瘡対策をする施設内委員会のメンバーからも効果を期待する声が寄せられた」と篠澤氏は振り返る。

 展示会後にデモ機を導入。主に介護度の高い特殊浴槽利用者を対象にピュアットを併用したところ、入浴介助の時間削減や手順の簡略化が実感できた。介助者を1日4人から3人(夏期の熱中症対策期間を除く)にしても、職員への聞き取りでは「負担は重くならなかった」との回答を得られた。

 現在では同施設で1台、法人内の7施設でも導入。ピュアットは、今年度の介護テクノロジー定着支援事業より補助対象となるTAISコード「介護テクノロジー」で、入浴支援として認定されたが、「(昨年時点で)補助がなくても導入にいたったほどに、効果を確認できた」と篠澤氏は話す。

介護テック活用のPDCAの重要性

 「幅広い年代の介護職が従事している中で、介護リフトの必要性や効果を施設内の職員に納得してもらい、定着するまでの伴走型支援が欠かせなかった。ピュアットは、従来の入浴介助の業務フローを変えなくても効果を上げてくれた」と篠澤氏は振り返る。

 生産性向上推進体制加算の要件となっている見守りセンサーとインカム・ICT機器は、全国的に導入が急伸した。喫緊の対応が徐々に軌道に乗る中で、施設ごとの課題洗い出しのPDCAの過程で入浴介助の業務改善への注目も高まりそうだ。
(シルバー産業新聞2025年8月10日号)

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