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オンラインによる「介護人財」の紹介が活発に

オンラインによる「介護人財」の紹介が活発に

 ONODERA USER RUN(オノデラユーザーラン、小野寺裕司社長)は、人材不足で悩む病院や高齢者施設などに向けて、オンラインシステムによる商談を始めた。慢性的な介護人材不足とコロナ禍による人材不足で、施設からの問い合わせは増加している。

 同社は、フードサービスを展開するLEOC(レオック)をはじめとした、ONODERA GROUP傘下として、2016年11月に設立された。LEOCは全国約2500 カ所にサービスを提供し、そのうち、病院と介護施設、福祉施設などは約1700カ所に及ぶ。

 病院や介護施設にアジア人の介護人材を紹介している同社では、現在、東南アジア11拠点で、2135人の生徒を抱え、特定技能(介護)試験合格者が831人在籍している。東南アジアにおける人財教育事業と、特定技能ビザによる日本国内への介護人財紹介事業の他、生活サポート、定着サポート、介護福祉士資格取得支援のフォローまでワンストップで提供している。

 また、8月1日からは、生活サポートの一環として、コールセンターやポータルサイトなどのサービスを多言語(現在、日本語・英語・ベトナム語・ミャンマー語)で開始。介護人材を「人財」と呼ぶことで、日本で安定して、長く働ける人材を施設に紹介することを理念としている。

コロナの経営への影響

 コロナ禍では、企業や幼稚園などで給食の対面提供が制限される中、お弁当などで対応するところも多かった。しかし、病院や介護施設などでは、病院で入院数が若干減少したが、ほとんど現状を維持することができたという。

 同社でも、4月、5月は、営業で病院や介護施設などを訪問することはほとんどできなかった。6月に緊急事態宣言が解除され、ようやく相談件数も増え、6月からオンラインを通じた商談を始めた。6月の相談件数は235件で、そのうち39件がオンラインによる相談だった。7月もほぼ同数からの相談が寄せられている(病院と介護施設などの場合)。

介護人材確保の現状

 介護施設や病院の現場でも、昨年の7月頃から特定技能への関心が高まっているという。ところが、今年になってコロナ禍で中断したものの、6月以降は面接によるマッチングも始まり、徐々に申請手続きが始まっている。同社では11月にミャンマーからの特定技能生が入国予定になっているそうだ。

 日本国内での介護職の現状について、同社の担当者は「地方では職員の定着率は比較的良いが、職員の平均年齢が上がっている。そのため若い世代を求める傾向がある。18歳から25歳くらいの若い人となると、やはり外国人に期待する面がある」と話す。一方、都市部では介護職員の取り合いが起きている。病院の看護助手不足も深刻だという。

 「リーマンショック後に介護士が増えたが、結局、定着はしなかった。コロナ禍でも同じことが起きる気がしている。職を失った他の職種の人が介護職に長く就くかは分からない。施設側は、定着してくれる職員を求めている」と担当者は強調する。代替えのきく職員ではなく、長く持続的に働く職員を施設も求めている実態が分かる。「外国人労働者を採用することで、派遣労働者に頼らなくても、継続させることでコストは下げられると考えている」とも話す。

オンライン商談のメリット

 オンライン商談を希望しているのは、病院、特養や老健が多く、その他、有料老人ホームやデイサービス、グループホームなどの依頼もある。オンライン商談の場合、説明内容を短くし、要点を端的に伝えることができるので、施設側の時間削減につながっている。忙しい施設には、その点のメリットは大きい。また対面での商談と違い、オンラインであれば感染症リスクも皆無に等しい状況なので、入居者やスタッフのためにもメリットが大きい。

 オンラインというIT手段への抵抗感は、紙面で丁寧に方法を伝えることで、導入に繋がっているという。コロナ禍が去った後でも利用したいという意向も出ているそうだ。同社側の営業コスト、移動コストは、1カ月約150時間、金額で40万円の削減になっている。その分は、介護人材の教育や紹介事業に充てていきたい、と話している。

8月から、同社から紹介の特定技能外国人介護士が病院で勤務開始

 同社から「特定技能介護」ビザとして、紹介第1号となる、ベトナム人のクエン・ティ・ガンさん(京都在住・20代女性)は、8月から京都市内の病院で就職。ガンさんは日本に留学生として2年滞在し、福祉施設で調理補助の仕事に就いていた。その時に、介護の仕事に興味を持ち、特定技能(介護)試験を受け合格。ガンさんは「介護の技術を身に付け、日本で働きたい。そして、いつか自国でも介護が必要な人の役に立ちたい。介護の仕事は“天職”」と意欲満々だそう。同社では、8月1日から生活サポートを本格的に開始している。

 同社は、全体としては、現在、マッチング中、または準備中の施設は61で、採用予定数は192人だという。今後2020年度内に、453人の就職者を見込んでおり、人手が深刻化する2025年度までには、累計で約3万人の介護人材(特定技能のみ)を紹介したいと意気込んでいる。

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