生き活きケア

採用オンライン化で応募倍増/社会福祉法人 若竹大寿会(横浜市)

採用オンライン化で応募倍増/社会福祉法人 若竹大寿会(横浜市)

 横浜市を中心に介護・障がいサービス等を運営する社会福祉法人若竹大寿会(竹田一雄理事長)は、新型コロナウイルス感染症が拡がり始めた2月、説明会や面接など採用活動のオンライン化に着手した。リアルな説明会にできるだけ近づけようと、職員がカメラ片手に施設内を回る「バーチャル見学会」なども実施。遠方の学生、福祉分野以外からの応募数が伸び、8月には採用数の年度目標を達成した。

職場ライブ見学など好評

 若竹大寿会は約1430人のスタッフを抱え、特養5カ所、老健5カ所、通所介護7カ所、居宅介護支援10カ所などを運営。横浜市より地域包括支援センターの運営委託も8カ所受けている(20年12月時点)。

 通常の採用活動は施設内で見学を兼ねた説明会を行うが、新型コロナが日本で流行し始めた2月、同法人はいち早くオンライン説明会を取り入れた。最初はリアルとオンラインを並行。同年4月開設予定の特養を活用し利用者との接触を回避しながら実施し、感染が拡大してきた4月に完全オンライン化へ移行した。

 工夫したのが「バーチャル施設見学会」。職員がカメラを取り付けたノートPCを持って、施設の様子を生配信する。同法人採用センターの前田洋美センター長は「事前撮影した映像を見せる方法も行いましたが、参加者の反応が分かりづらい。オンタイムだと各現場の職員へその場で質問でき、職場の雰囲気がより伝わりやすい」と特長を伝える。

 今年度からは「介護」「ソーシャルワーク」「食」「リハビリ」など希望職種ごとに説明会をコース分け。リハビリコースでは機能訓練室のマシンや、同法人が取組む「ノーリフティングケア」(持ち上げない・抱え上げない介護)で使用する移乗機器など、よりコース内容に沿った見学で説明会の時短化もはかった。

 オンライン説明会は1回あたり平均4~5人程度が参加。場所の確保が不要で、スタッフの人数が最小化できたぶん、学生が参加しやすい平日遅めの時間帯や土日など、柔軟な開催が可能になったという。
オンライン説明会の様子。場所はスタッフの休憩ラウンジ

オンライン説明会の様子。場所はスタッフの休憩ラウンジ

SNSで介護を積極発信

 また、普段は福祉系学校を訪問し募集PRを行っていたが、代わってインスタグラム等を活用し各施設・事業所の様子をアップ。その結果、福祉・介護系以外からの応募が増加。「介護の仕事を世の中の役に立てる、将来のキャリアアップとして捉えている学生も多い」と前田氏は説明する。

 同法人説明会の参加者は例年の2倍強に。業界全体の人材確保が厳しい中、昨年8月時点で採用数の年度目標35人を達成し、4月から47~48人が新たに入職する。「オンライン化で遠方、他分野の学生など、今まで会えなかった層に会う機会が増えたと実感しています」(同氏)。

 人材定着率も高い同法人。同氏は「採用は欠員補充のためではなく、新設に伴う増員というのが基本的な考え方」と強調。既に3~4年後の特養開設に向けて動いている。新規事業所で働くスタッフの半数以上は既存事業所から異動で確保し、サービスの質を保つ。
採用センターの前田洋美さん

採用センターの前田洋美さん

(シルバー産業新聞2021年1月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル