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「自立支援・重度化防止」の実態把握へ

「自立支援・重度化防止」の実態把握へ

 厚生労働省は2018年介護報酬改定の効果検証調査を11~12月に実施する。10月11日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)で調査7項目が示された。このうち「介護保険制度におけるサービスの質の評価」ではADL維持等加算、「介護サービスにおける機能訓練の状況等」では生活機能向上連携加算の算定状況を把握する。

 ADL維持等加算は、バーセルインデックス(BI)でADLを評価し、6カ月間で改善した利用者数が悪化した利用者数以上だった場合に算定が可能。18年改定の主要テーマ「自立支援・重度化防止」の目玉として通所介護(地域密着型含む)に新設され、アウトカム評価による加算として注目されている。

 また、生活機能向上連携加算は病院などの理学療法士等と連携し、利用者個々に機能訓練計画の作成・実施・見直しを行うもの。理学療法士等を自事業所で配置しなければならない「個別機能訓練加算」を外部連携型に緩和した形だ。通所介護や特養、小規模多機能、グループホームなどに広く設定されている。

 今回の調査で、ADL維持等加算に関しては主にBIを含むADLのアセスメントの実態を把握する。具体的には、BI評価を行う職種や評価頻度、負担感、評価対象の利用者など。同時に、未算定の事業所にはその理由を聞く。

 また、算定・未算定事業所の双方へ算定要件の改善点を聞き取る。いわゆる「短時間・リハビリ特化型デイ」が算定しづらい理由となっている利用時間(5時間以上)や要介護3~5の割合(15%以上)、また月3単位(6単位)という低い加算額へ要望が集まることが予想される。なお、同省の介護給付費実態調査によると、今年6月審査分で通所介護における同加算の算定回数(Ⅰ・Ⅱの合計)は4.5万回。同月の通所介護利用者117.7万人に対し算定割合は3.8%にとどまる。

 生活機能向上連携加算については、加算取得の効果や外部リハ職との連携方法が、主な調査項目となる。効果に関しては▽機能訓練指導員のケアの質が向上▽介護職員が安心して働けるようになった▽ケアを行う際、多職種連携で対応する機会が増えた▽経営上のメリットがあった▽機能訓練に関するデータの活用力が向上した――等の有無を確認。連携方法は外部連携先のサービス種別(医療機関、介護施設など)や連携職種、自事業所への訪問頻度などを確認する。

 また、算定の課題の一つが連携先への対価の支払い。介護報酬上は連携先への報酬が発生しないため、算定事業所との相対契約が必要になる。調査では算定しない理由に「連携先候補と報酬面での条件で折り合いがつかない」や「契約の締結、報酬の調整に負担を感じる」といった選択肢を設けている。6月審査分で生活機能向上連携加算の算定回数は通所介護5.3万回(利用者に占める割合4.5%)、特養2.8万回(5.1%)、グループホーム1.5万回(7.2%)など。

 その他の調査項目は▽介護ロボットの効果実証▽訪問看護サービス及び看護小規模多機能型居宅介護サービスの提供の在り方▽福祉用具貸与価格の適正化▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス提供状況▽医療提供を目的とした介護保険施設におけるサービス提供実態――。調査は11~12月に行い、1~2月の分析・検証を経て3月に同分科会へ報告される。

(シルバー産業新聞2019年11月10日号)

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