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介護給付費等実態統計 新加算の算定状況、明らかに

厚生労働省は昨年末、2024年4月サービス分の介護給付費等実態統計月報を公表した。24年4月改定で新設された加算の算定状況が確認できる。改定直後のため、算定準備中の事業所も多いほか、6月施行となった在宅医療系の4サービスや介護職員等処遇改善加算などの実績はまだ含まれていない。そうした中でも、見守りセンサーの全床導入などハードルが高い生産性向上推進体制加算(Ⅰ)は、特定施設での算定が他サービスと比べて目立っている。一定の要件を満たす協力医療機関との連携を評価する協力医療機関連携加算や高齢者施設等感染対策向上加算は、母体が医療法人の老健や介護医療院で算定が進む。
生産性向上推進体制加算 特定施設で目立つ(Ⅰ)の算定
生産性向上推進体制加算は、テクノロジーの導入に止まらず、継続的な生産性向上の体制づくりや取組みを推進するため、▽利用者の安全、介護サービスの質の確保、職員の負担軽減の方策を検討する委員会の開催▽見守り機器やインカム、介護ソフトなどのテクノロジーの導入▽年に1回以上、利用者の満足度評価や介護職員の総業務時間.超過勤務時間などのデータの提出――などを要件とする。施設系や居住系をはじめ、短期入所系、多機能系サービスにも設けられた。
Ⅰと比べて取り組みやすいⅡ(10単位/月)の算定が改定直後から進んでいる。施設系・居住系では件数ベースで8.5~21.3%の算定率となった。
一方、見守り機器の原則全床導入や実際に取組みの成果が確認されていることなどを要件としたⅠ(100単位/月)は多くのサービスで1%に満たない状況だ。そうした中、特定施設はⅠの算定が5.9%と目立って高い。改定前から、テクノロジー導入に積極的に取り組んできたSOMPOケアは、昨年8月時点で274施設がⅠを算定済みだった。
Ⅰと比べて取り組みやすいⅡ(10単位/月)の算定が改定直後から進んでいる。施設系・居住系では件数ベースで8.5~21.3%の算定率となった。
一方、見守り機器の原則全床導入や実際に取組みの成果が確認されていることなどを要件としたⅠ(100単位/月)は多くのサービスで1%に満たない状況だ。そうした中、特定施設はⅠの算定が5.9%と目立って高い。改定前から、テクノロジー導入に積極的に取り組んできたSOMPOケアは、昨年8月時点で274施設がⅠを算定済みだった。
認知症チームケア推進加算 研修修了者の確保などがネックに
認知症チームケア推進加算は、認知症の行動.心理症状(BPSD)発現の予防や、早期対応・重症化防止のチームケアを推進するために新設された。チームの中核となる職員が、認知症介護指導者養成研修修了者の場合はⅠ(150単位/月)、認知症介護実践リーダー研修修了者ではⅡ(120単位/月)を算定できる可能性がある。さらに、いずれの修了者も、オンデマンド形式の「認知症チームケア推進研修」(70分程度)を受講する必要がある。
チームは、加算対象者(認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上)へ個別に、「BPSD25Q」などを用いた評価を行う。評価結果に基づき、チームケアの計画を作成・実施。各対象者1人につき月1回以上の定期的なカンファレンスを開催し、状態の再評価やケアの振り返りなどを行い、国が示す「認知症チームケア推進加算.ワークシート」や介護記録などに記録する。
認知症グループホームの4月時点の算定件数はⅠが900件(算定率0.4%)、Ⅱが1900件(同0.9%)。算定が進んでいないのは、認知症介護指導者養成研修や認知症介護実践リーダー研修の修了者の確保が難しいこと、認知症専門ケア加算との併算定ができないことなどが考えられる。認知症専門ケア加算はⅠ(3単位/日)16.8%、Ⅱ(4単位/日)0.9%が算定されている。
チームは、加算対象者(認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上)へ個別に、「BPSD25Q」などを用いた評価を行う。評価結果に基づき、チームケアの計画を作成・実施。各対象者1人につき月1回以上の定期的なカンファレンスを開催し、状態の再評価やケアの振り返りなどを行い、国が示す「認知症チームケア推進加算.ワークシート」や介護記録などに記録する。
認知症グループホームの4月時点の算定件数はⅠが900件(算定率0.4%)、Ⅱが1900件(同0.9%)。算定が進んでいないのは、認知症介護指導者養成研修や認知症介護実践リーダー研修の修了者の確保が難しいこと、認知症専門ケア加算との併算定ができないことなどが考えられる。認知症専門ケア加算はⅠ(3単位/日)16.8%、Ⅱ(4単位/日)0.9%が算定されている。
協力医療機関連携加算 老健や介護医療院の算定進む
協力医療機関連携加算は、施設や居住系サービスが協力医療機関と会議を定期実施した場合に算定できる。
前提として、24年度改定では施設サービスに一定の要件を満たす協力医療機関を定めることが義務化されている。それまでも協力病院を定めておくことが運営基準に位置付けられていたが、地域の医療機関とより実効性の高い連携体制を構築することを目的に、①医師や看護師による急変時の相談対応体制②診療体制の常時確保③急変時などの入院受入体制の確保――の3つを満たす協力医療機関を定めるように見直された。複数の医療機関と協力体制を結ぶことで要件を満たしてもよいが、要件③は病院に限定されている。27年3月までの3年間は経過措置とした。また特定施設と認知症GHには、①と②の要件を満たす協力医療機関を定める努力義務が設けられた。
その上で、協力医療機関と入所者の現病歴などの情報を共有する会議を定期的に開催した場合、協力医療機関連携加算が算定できるようになった。上記①~③の要件(居住系は①と②)を満たす協力医療機関の場合には、単価が高いⅠ(100単位/月)を算定できる。ただし、施設サービスは今年4月以降、50単位/月に減額。協力医療機関が要件を満たさない場合のⅡは施設サービスが5単位/月、居住系サービスが40単位/月。算定率は、医療法人母体が中心の老健や介護医療院が特養などと比べて高い。
協力医療機関の未調整や同加算未算定の理由として、「医療機関の選定や調整に時間がかかる」「多忙など病院側の都合もあり対応が難しいと言われた」「地域の医療機関の数が限られており、一つの医療機関が複数の施設と協力体制を構築しなければならない。その状態で、入院受入れ体制の確保や定期的な会議開催も困難」などの声が挙がる。
また、高齢者施設等感染対策向上加算も、施設サービスや居住系サービスを対象に、感染症発生時に感染者への診療など、協力医療機関との連携体制や取組みを評価する。やはり老健や医療院での算定が特に進んでいる。
前提として、24年度改定では施設サービスに一定の要件を満たす協力医療機関を定めることが義務化されている。それまでも協力病院を定めておくことが運営基準に位置付けられていたが、地域の医療機関とより実効性の高い連携体制を構築することを目的に、①医師や看護師による急変時の相談対応体制②診療体制の常時確保③急変時などの入院受入体制の確保――の3つを満たす協力医療機関を定めるように見直された。複数の医療機関と協力体制を結ぶことで要件を満たしてもよいが、要件③は病院に限定されている。27年3月までの3年間は経過措置とした。また特定施設と認知症GHには、①と②の要件を満たす協力医療機関を定める努力義務が設けられた。
その上で、協力医療機関と入所者の現病歴などの情報を共有する会議を定期的に開催した場合、協力医療機関連携加算が算定できるようになった。上記①~③の要件(居住系は①と②)を満たす協力医療機関の場合には、単価が高いⅠ(100単位/月)を算定できる。ただし、施設サービスは今年4月以降、50単位/月に減額。協力医療機関が要件を満たさない場合のⅡは施設サービスが5単位/月、居住系サービスが40単位/月。算定率は、医療法人母体が中心の老健や介護医療院が特養などと比べて高い。
協力医療機関の未調整や同加算未算定の理由として、「医療機関の選定や調整に時間がかかる」「多忙など病院側の都合もあり対応が難しいと言われた」「地域の医療機関の数が限られており、一つの医療機関が複数の施設と協力体制を構築しなければならない。その状態で、入院受入れ体制の確保や定期的な会議開催も困難」などの声が挙がる。
また、高齢者施設等感染対策向上加算も、施設サービスや居住系サービスを対象に、感染症発生時に感染者への診療など、協力医療機関との連携体制や取組みを評価する。やはり老健や医療院での算定が特に進んでいる。

口腔連携強化加算 算定に向けたリーフレットなど通知
訪問介護、定期巡回サービス、訪問看護、訪問リハビリ、短期入所系に新設された口腔連携強化加算(50単位/回、月1回まで)は事業所職員が、口腔の健康状態の評価を行い、利用者の同意を得て、歯科医療機関とケアマネジャーに対し、評価結果を情報提供した場合に算定できる。
ただし、歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関の歯科医師か歯科衛生士が、職員からの相談などに対応してもらう体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていることも要件となっている。4月実績で、訪問介護の算定回数は1600回。厚労省は今年1月、日本老年歯科医学会が作成した同加算のリーフレットを紹介する事務連絡を発出。リーフレットでは、訪問歯科診療を実施する歯科医療機関を検索できる医療情報ネットや口腔の評価項目、取り決め文書の書式例などが紹介されている。
ただし、歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関の歯科医師か歯科衛生士が、職員からの相談などに対応してもらう体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていることも要件となっている。4月実績で、訪問介護の算定回数は1600回。厚労省は今年1月、日本老年歯科医学会が作成した同加算のリーフレットを紹介する事務連絡を発出。リーフレットでは、訪問歯科診療を実施する歯科医療機関を検索できる医療情報ネットや口腔の評価項目、取り決め文書の書式例などが紹介されている。
総合マネジメント体制強化加算 新設区分Ⅰへの移行進む
多機能系サービスと定期巡回サービスの総合マネジメント体制強化加算は、地域包括ケア推進と地域共生社会の実現に向けた事業所の取組みを評価する新区分Ⅰが設けられた。具体的に求められる取組みとして、「日常的に利用者と関わりのある地域住民等の相談に対応する体制の確保」などが挙げられている。
加算額は200単位上乗せされた1200単位/月。逆に従前の要件はⅡとして800単位/月に引き下げられている。Ⅰの算定率は、小多機62.9%、看多機64.5%、定期巡回サービス59.6%と改定直後から、上位区分の算定が進んでいる。
(シルバー産業新聞2025年2月10日号)
加算額は200単位上乗せされた1200単位/月。逆に従前の要件はⅡとして800単位/月に引き下げられている。Ⅰの算定率は、小多機62.9%、看多機64.5%、定期巡回サービス59.6%と改定直後から、上位区分の算定が進んでいる。
(シルバー産業新聞2025年2月10日号)