ニュース

2024年度介護報酬改定のポイント【各サービスの共通事項】

2024年度介護報酬改定のポイント【各サービスの共通事項】

 社会保障審議会介護給付費分科会が12月19日に公表した「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」から、次期介護報酬改定の全容をまとめた。★=予防サービス含む

①感染症対応力の向上 【(地域密着型)特定施設★、認知症グループホーム★、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 施設内で感染者が発生した場合に、医療機関と連携して施設内で感染者の療養を行うことや、感染拡大防止の取組を評価する新加算を設ける。

 (ア)新興感染症の発生時等の医療機関(協定締結医療機関)との連携体制の構築(イ)一般的な感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)について、協力医療機関等と感染症発生時における診療等の対応の取り決め、当該協力医療機関等と連携しての適切な対応(ウ)感染症対策を行う医療機関等や地域医師会の感染対策の定期的な研修に参加し、助言や指導を受けること

 また、感染対策にかかる一定要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けることを評価する新加算も設ける。

②施設内療養を行う高齢者施設等への対応 【(地域密着型)特定施設★、認知症グループホーム★、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 新興感染症のパンデミック発生時等において、感染拡大による病床ひっ迫を避けるために、必要な感染対策や医療機関との連携体制を確保した上で高齢者を施設内で療養を行うことを新たに評価。対象の感染症は今後のパンデミック発生時に必要に応じて指定する。

③新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携 【(地域密着型)特定施設★、認知症グループホーム★、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 感染者の診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築しておくため、協定締結医療機関と連携し新興感染症発生時の対応を取り決めるよう努める。協力医療機関が協定締結医療機関である場合には、協力医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応の協議を義務づける。

④平時からの認知症の行動・心理症状の予防、早期対応の推進 【認知症グループホーム★、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現の未然の防止や出現時に早期対応するため平時からの取組として、認知症のチームケアを評価する新加算を設ける。

⑤リハビリ・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進 【(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 老健のリハビリテーションマネジメント計画書情報加算、介護医療院の理学療法、作業療法および言語聴覚療法、特養等の個別機能訓練加算(Ⅱ)について、以下を評価する新たな区分を設ける。

 (ア)口腔衛生管理加算(Ⅱ)および栄養マネジメント強化加算を算定(イ)リハビリ実施計画等の内容について、リハビリ・機能訓練、口腔、栄養の情報を関係職種間で一体的に共有。必要に応じてLIFEに提出した情報を活用(ウ)共有した情報を踏まえ、リハビリ実施計画または個別機能訓練計画について必要な見直しを行い、その内容を関係職種で共有

⑥リハビリ・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し 【通所リハ★、(地域密着型)通所介護、認知症対応型通所介護★、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 リハビリ・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組を推進する観点から、リハビリ・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に関する一体的計画書の見直しを行う。

⑦訪問系、短期入所系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化 【訪問介護、訪問看護★、訪問リハ★、短期入所生活介護(療養介護)★、定期巡回】

 事業所と歯科専門職の連携の下、介護職員による口腔衛生状態および口腔機能の評価の実施、ならびに利用者の同意のもとでの歯科医療機関およびケアマネジャーへの情報提供を評価する新加算を設ける。

⑧ユニットケア施設管理者研修の努力義務化 【短期入所生活介護(療養介護)★、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 個室ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修を受講するよう努める。

⑨科学的介護推進体制加算の見直し 【(地域密着型)通所介護、認知症対応型通所介護★、通所リハ★、(地域密着型)特定施設★、小多機★、認知症グループホーム★、看多機、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 科学的介護推進体制加算について、以下の見直しを行う。

 (ア)加算の入力項目の定義の明確化や他の加算との共通項目の見直し等を実施(イ)LIFEへのデータ提出頻度は、少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」に見直す(ウ)初回のデータ提出時期を、他のLIFE関連加算と揃えることを可能とする。

⑩アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し 【(地域密着型)通所介護、認知症対応型通所介護、(地域密着型)特定施設、(地域密着型)特養】

 ADL維持等加算(Ⅱ)におけるADL利得の要件について、「二以上」を「三以上」と見直す。ADL利得の計算方法の簡素化を行う。

⑪アウトカム評価の充実のための排せつ支援加算の見直し 【看多機、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 排せつ支援加算について、以下の見直しを行う。

 (ア)排せつ状態の改善等の評価に加え、尿道カテーテルの抜去も新たに評価を行う(イ)医師または医師と連携した看護師の評価を少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」に見直す(ウ)加算の様式は入力項目の定義の明確化や他の加算との共通項目の見直し等を実施(エ)初回のデータ提出時期は他のLIFE関連加算と揃えることを可能とする。

⑫アウトカム評価の充実のための褥瘡マネジメント加算等の見直し 【看多機、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 褥瘡マネジメント加算(介護医療院は褥瘡対策指導管理)について、以下の見直しを行う。

 (ア)施設入所時または利用開始時に既に発生していた褥瘡の治癒についても評価を行う(イ)加算の様式は入力項目の定義の明確化や他の加算との共通項目の見直し等を実施(ウ)初回のデータ提出時期は、他のLIFE関連加算と揃えることを可能とする。

⑬介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化 【訪問介護、訪問入浴介護★、(地域密着型)通所介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護★、通所リハ★、短期入所生活介護(療養介護)★、(地域密着型)特定施設★、定期巡回、夜間対応型訪問介護、小多機★、認知症グループホーム★、看多機、(地域密着型)特養、老健、介護医療院】

 介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算の各加算・各区分の要件および加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行う。1年間の経過措置期間を設ける。

 以下の見直しを行う。

 (ア)職種間の賃金配分は、職種に着目した配分ルールは設けず、一本化後の新加算全体について、事業所内で柔軟な配分を認める(イ)新加算の配分方法は、新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、一番下の区分の加算額の2分の1以上を月額賃金の改善に充てること。その際、それまでベースアップ等支援加算の未取得の事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額の3分の2以上を月額賃金の改善として新たに配分すること(ウ)職場環境等要件は、生産性向上および経営の協働化に係る項目を中心に、人材確保に向け、より効果的な要件とする観点で見直しを行う。

⑭外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し 【通所系★、短期入所系★、居住系★、多機能系★、施設系サービス】

 就労開始から6月未満のEPA介護福祉士候補者および技能実習生(以下「外国人介護職員」)について、事業者が、外国人介護職員の日本語能力や指導の実施状況、施設長や指導職員等の意見等を勘案し、当該外国人介護職員を人員配置基準に算入することについて意思決定を行った場合には、就労開始直後から人員配置基準に算入して差し支えない。以下の要件を設ける。

 (ア)一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること(イ)安全対策担当者の配置、指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制を整備していること。

⑮特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算および中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化 【訪問介護、訪問入浴介護★、訪問看護★、訪問リハ★、居宅療養管理指導★、(地域密着型)通所介護、認知症対応型通所介護★、通所リハ★、福祉用具貸与★、定期巡回、夜間対応型訪問介護、療養通所介護、小多機★、看多機、居宅介護支援】

 「過疎地域の持続的発展支援特別措置法」において「過疎地域」とみなされる地域等は、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算および中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれる。

⑯特別地域加算の対象地域の見直し 【訪問介護、訪問入浴介護★、訪問看護★、訪問リハ★、居宅療養管理指導★、福祉用具貸与★、定期巡回、夜間対応型訪問介護、小多機★、看多機、居宅介護支援】

 特別地域加算の対象地域は、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域について、都道府県および市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行う。

⑰地域区分

 2024年度以降の級地の設定は、現行の級地の適用を基本としつつ、公平性を欠く状況にあると考えられる自治体については特例(※1)を設け、自治体に対する意向調査の結果を踏まえ、級地に反映する。また、15年度介護報酬改定時に設けられた経過措置(※2)については23年度末までがその期限となっているが、26年度末までの延長を認める。

 ※1(ア)次の場合は、当該地域の隣接地域に設定された地域区分のうち、一番低いまたは高い地域区分までの範囲で引上げまたは引下げを認める(ⅰ)当該地域の地域区分よりも高いまたは低い地域に全て囲まれている場合(ⅱ)当該地域の地域区分よりも高いまたは低い級地が設定された地域に複数隣接し、かつ、その地域の中に当該地域と4級地以上の級地差がある地域が含まれている場合。なお、引上げは、地域手当の級地設定がある自治体を除く(ⅲ)当該地域の地域区分よりも高いまたは低い級地が設定された地域に囲まれており、かつ、同じ地域区分との隣接が単一(引下げの場合を除く)の場合。なお、引上げは、地域手当の級地設定がある自治体を除く。(イ)5級地以上の級地差がある地域と隣接している場合は、4級地差になるまでの範囲で引上げまたは引下げを認める。

 (注1)隣接する地域の状況は、同一都道府県内のみの状況に基づき判断することもできる(アⅰのみ)。

 (注2)広域連合は、構成自治体に適用されている区分の範囲内で選択することを認めているが、2023年度末に解散する場合について、激変緩和措置を設ける。

 (注3)自治体の境界の過半が海に面している地域にあっては、イの例外として、3級地差以上の級地差であっても2級地差になるまで引上げを認める。

 (注4)障害福祉サービス等報酬および子ども・子育て支援制度における公定価格の両方の地域区分が、経過措置等による特別な事情で介護報酬の級地より高い場合、その範囲内において、隣接する高い級地のうち最も低い区分まで引上げができる。

 ※2 15年度の地域区分の見直しに当たり、報酬単価の大幅な変更を緩和する観点から、従前の設定値と見直し後の設定値の範囲内で選択できる。
(シルバー産業新聞2024年1月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル