連載《プリズム》

「ややこしい」は弱者の利益に

「ややこしい」は弱者の利益に

 10月1日から消費税が8%から10%に引き上げられた。消費税は所得の低い人ほど税負担が大きい逆累進性があるため、プレミアム商品券や年金生活者支援給付金などの低所得者向け(市町村民税非課税)の施策や、全世代型社会保障への転換と称される幼児教育・保育の無償化では、全世帯対象の3〜5歳児の保育料無償化とならんで、低所得世帯は0〜2歳児も無償化された。(プリズム2019年10月)

 介護報酬や診療報酬は、増税に伴う事業所の損失を補てんするための報酬引上げや、介護職などの給与アップを目指す特定処遇改善加算が実施された。特定加算の分配では多くの事業所がほん弄されている。

 消費増税の消費反動を抑えるために、中小事業者向けに、キャッシュレス決済を条件に20年6月末までの間、最大5%のポイント還元が行われる。赤い掲示ポスターの店で、同店が指定したキャッシュレスカードを用いて決済すると、そのカードにポイントが付く。店が行う登録期限は、20年4月までで、対応する機能のあるレジスターが必要とされるほか、カード会社への手数料が必要になる。介護保険サービス料や医療費は、原則非課税であるため、利用料をキャッシュレス決済してもポイント還元はないが、例外として、介護保険の特定福祉用具販売と住宅改修費があり、その支払いをキャッシュレス決済すると、ポイント還元される。介護保険外のおむつなどの介護用品などの販売商品もポイント還元になり、福祉用具事業者で登録を受けて対応する店も出てきた。

 注意点として、特定福祉用具販売や住宅改修費には、はじめに全額を支払って後から保険給付分を払い戻される「償還払い」と、当初から利用者負担分の支払いを行う「受領委任払い」があることだ。ポイント算定はキャッシュレス決済を行った時点で決まるため、受領委任払いでは利用者は損をする。厚労省などは、制度の原則である償還払いを選択することができると説明している。シンプル・イズ・ベストだったはずの介護保険だが、利用者にも事業者にも、ややこしいものになってきた。自己選択、自立支援をめざす制度は、分かりやすくなければならない。

(シルバー産業新聞2019年10月10日号)

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