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19年10月 処遇改善へ別建ての新加算
厚生労働省は10月31日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)で、来年10月に消費税率引上げ分を財源に実施する介護人材の更なる処遇改善について、現行の処遇改善加算とは別建ての新加算を設ける案を提示した。「経験・技能のある介護職員」として勤続10年以上の介護福祉士への処遇改善を重点化しつつ、それ以外の介護職員や他の職種への処遇改善にも柔軟に運用できるよう、加算取得後の配分ルールを定める方針とした。
「経験・技能のある介護職員」に重点化
厚生労働省は10月31日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)で、来年10月に消費税率引上げ分を財源に実施する介護人材の更なる処遇改善について、現行の処遇改善加算とは別建ての新加算を設ける案を提示した。「経験・技能のある介護職員」として勤続10年以上の介護福祉士などへの処遇改善を重点化しつつ、それ以外の介護職員や他の職種への処遇改善にも柔軟に運用できるよう、加算取得後の配分ルールを定める方針とした。
介護人材の更なる処遇改善については、昨年12月の閣議決定「新しい経済政策パッケージ」の中で、「経験・技能のある職員に重点化をはかりながら、介護職員の更なる処遇改善を進める」と明記された。増税分の税収を財源に公費1000億円を投じ、同額の保険料分と合わせて2000億円を費す。
前回10月15日の分科会では「処遇改善は介護報酬の加算で対応」「介護職員の処遇改善という趣旨を損なわない程度で、その他の職種にも一定程度処遇改善を行う」ことが示され、この日は加算の設定方法や要件、取得した加算の配分方法について案が出された。
介護人材の更なる処遇改善については、昨年12月の閣議決定「新しい経済政策パッケージ」の中で、「経験・技能のある職員に重点化をはかりながら、介護職員の更なる処遇改善を進める」と明記された。増税分の税収を財源に公費1000億円を投じ、同額の保険料分と合わせて2000億円を費す。
前回10月15日の分科会では「処遇改善は介護報酬の加算で対応」「介護職員の処遇改善という趣旨を損なわない程度で、その他の職種にも一定程度処遇改善を行う」ことが示され、この日は加算の設定方法や要件、取得した加算の配分方法について案が出された。
配分方法をルール化
加算の設定方法については、現行の処遇改善加算同様に、サービス種別ごとに一定の上乗せ率(%)を設定する考え(図)。上乗せ率は「経験・技能のある介護職員が多いサービスがより高く評価されるようにする」とした。
同省調査では、介護職員のうち10年以上の介護福祉士の割合が最も高いのは老健の23.7%。サービス全体の平均は15%となっている。また、勤続年数に関わらず介護福祉士の割合が最も高いのは夜間対応型訪問介護の68.1%だった(表)。
取得した加算は賃金改善に充てることとし、①経験・技能のある介護職員②他の介護職員③その他の職種――の順に重点化できるよう、一定のルールを設ける。
①については「勤続10年以上の介護福祉士」が基本。その上で、例えば現場でのマネジメントスキルといった、資格だけでは見えづらい部分を事業所判断で評価するなど、柔軟な運用も可能にする。
「10年以上」が同一事業所または同一法人に限定するのか、もしくは勤務先を問わず実務経験で捉えるのかは、今後の検討事項とされた。 ただし、加算の算定要件そのものに10年以上介護福祉士の配置数・割合は求めない方向。キャリアパスや研修体制の構築をベースとし、さらに、長く働き続けられる職場環境への具体的な取り組みの見える化等を、追加要件として検討している。10年以上介護福祉士が1人もいない事業所でも、キャリアパス等の要件を満たせば新加算を算定できることとなる。
委員からは「同一サービス、同一の加算率なのに、介護福祉士の配置状況にバラツキがあると、事業所によって全く異なる賃金改善の結果が出てくる」(江澤和彦・日本医師会常任理事)や「仮に勤続年数を同一法人でカウントする場合、新規法人・事業所は必然的に10年介護福祉士がいないことになる。そういったところへの配慮も必要」(瀬戸雅嗣・全国老人福祉施設協議会理事)との指摘がなされた。
なお、介護職員の配置が人員基準にない(=処遇改善加算がない)訪問看護や福祉用具貸与、居宅介護支援等に対しては、引き続き、新加算の適用をすべきでないとの意見が多かった。
同省調査では、介護職員のうち10年以上の介護福祉士の割合が最も高いのは老健の23.7%。サービス全体の平均は15%となっている。また、勤続年数に関わらず介護福祉士の割合が最も高いのは夜間対応型訪問介護の68.1%だった(表)。
取得した加算は賃金改善に充てることとし、①経験・技能のある介護職員②他の介護職員③その他の職種――の順に重点化できるよう、一定のルールを設ける。
①については「勤続10年以上の介護福祉士」が基本。その上で、例えば現場でのマネジメントスキルといった、資格だけでは見えづらい部分を事業所判断で評価するなど、柔軟な運用も可能にする。
「10年以上」が同一事業所または同一法人に限定するのか、もしくは勤務先を問わず実務経験で捉えるのかは、今後の検討事項とされた。 ただし、加算の算定要件そのものに10年以上介護福祉士の配置数・割合は求めない方向。キャリアパスや研修体制の構築をベースとし、さらに、長く働き続けられる職場環境への具体的な取り組みの見える化等を、追加要件として検討している。10年以上介護福祉士が1人もいない事業所でも、キャリアパス等の要件を満たせば新加算を算定できることとなる。
委員からは「同一サービス、同一の加算率なのに、介護福祉士の配置状況にバラツキがあると、事業所によって全く異なる賃金改善の結果が出てくる」(江澤和彦・日本医師会常任理事)や「仮に勤続年数を同一法人でカウントする場合、新規法人・事業所は必然的に10年介護福祉士がいないことになる。そういったところへの配慮も必要」(瀬戸雅嗣・全国老人福祉施設協議会理事)との指摘がなされた。
なお、介護職員の配置が人員基準にない(=処遇改善加算がない)訪問看護や福祉用具貸与、居宅介護支援等に対しては、引き続き、新加算の適用をすべきでないとの意見が多かった。
(シルバー産業新聞2018年11月10日号)