介護保険と在宅介護のゆくえ
混乱を乗り越え利用者支援/服部万里子(連載89)
10月からの消費税率アップは国民生活に影響を与える。そのような中、介護サービス利用者でも負担が増える。
10月から始まる特定処遇改善加算を申請できるのは現在、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得していることが条件で、介護事業所の88.7%が対象である。「特定加算Ⅰ」「同Ⅱ」を申請できるかは、サービスごとに表下部のような条件が付いている。
特定処遇改善加算は「技能・経験のある介護福祉士」「その他の介護職」「介護職以外の職員」に分け、事業所がどのように配分するかを決める。年収440万円以上、または月8万円アップの実績を1人以上つくれば申請できるが、「他の事業所の配分を見ないと介護職が条件の良いところに移るのではないか」といった不安があり、なかなか決められず混乱をもたらしている。さらに、全ての利用者に説明して契約更新をしなければならず、請求ソフトの更新も必須であり、利用者にも事業所にも厳しいものがある。
特定処遇改善加算は「技能・経験のある介護福祉士」「その他の介護職」「介護職以外の職員」に分け、事業所がどのように配分するかを決める。年収440万円以上、または月8万円アップの実績を1人以上つくれば申請できるが、「他の事業所の配分を見ないと介護職が条件の良いところに移るのではないか」といった不安があり、なかなか決められず混乱をもたらしている。さらに、全ての利用者に説明して契約更新をしなければならず、請求ソフトの更新も必須であり、利用者にも事業所にも厳しいものがある。
介護保険料からも1000億円
同加算の財源には、消費税収入などからの1000億円のほかに、介護保険料からも1000億円が拠出される。今は良いが、来年の介護保険法改正、その後の介護報酬改定時には「すでに1000億円分アップしている」とされるため、マイナス改定をフォローするための材料に使われるおそれがある。それほど来年の介護保険法改正は厳しくなることが予測される。
要介護2までの生活援助・デイ外し
4月の財務省提言で、次期改正で要介護1、2の生活援助とデイサービスを、介護保険から外し地域支援事業へ移行する考えが出されている。要介護1、2の生活援助の50~60%が介護保険から外される「軽度者外しの第2弾」 であり、 利用者への影響が大きい。
訪問介護利用者の47%が要介護1、2であり、大手サービス事業所が市町村の総合事業から撤退している現状では、必要なサービスを利用できない事態が起きるのである。軽度者といっても、保険者が「介護が必要」と認定した人である。要介護1、2は認知症が多く、一人暮らしが多いので、生活援助の切り捨てやデイサービス外しによって、生活が困窮することは目に見えている。
財務省の提言では、介護保険や後期高齢者医療保険の自己負担も「原則2割」にする方向も出されている。介護保険も75歳以上の医療保険も、自己負担が2倍になる方向である。厚生労働省が公表している介護保険の収支は黒字である。にもかかわらず利用者負担を倍増する考え方に対して、全国のケアマネジャーは利用者の現実を調査し、介護保険見直しの検討に携わる人たちへ声を届けよう。
訪問介護利用者の47%が要介護1、2であり、大手サービス事業所が市町村の総合事業から撤退している現状では、必要なサービスを利用できない事態が起きるのである。軽度者といっても、保険者が「介護が必要」と認定した人である。要介護1、2は認知症が多く、一人暮らしが多いので、生活援助の切り捨てやデイサービス外しによって、生活が困窮することは目に見えている。
財務省の提言では、介護保険や後期高齢者医療保険の自己負担も「原則2割」にする方向も出されている。介護保険も75歳以上の医療保険も、自己負担が2倍になる方向である。厚生労働省が公表している介護保険の収支は黒字である。にもかかわらず利用者負担を倍増する考え方に対して、全国のケアマネジャーは利用者の現実を調査し、介護保険見直しの検討に携わる人たちへ声を届けよう。
服部万里子(日本ケアマネジメント学会 理事)
(シルバー産業新聞2019年8月10日号)
(シルバー産業新聞2019年8月10日号)
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