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群馬県の介護保険 ベトナム人介護人材 マッチング段階から県支援

群馬県の介護保険 ベトナム人介護人材 マッチング段階から県支援

 群馬県の高齢化率は2022年で31.0%、全国平均よりも上回っている。2022年の群馬県の生産年齢(15~64歳)人口は約108万人。これに対して65歳以上の高齢者人口の比率は53.9%と、約1.9人で1人の高齢者を支えていることとなり、1960年よりも約5分の1にまで低下している。

 生産年齢人口の減少は今後さらに加速し、2040年には約89万人と推計。現役世代の負担は一層増加していく。

 県内の介護福祉士養成施設では、入学者の減少が続き、新卒の介護福祉士の採用が年々困難になっている。

 23年度は県内10カ所の養成施設で定員480人に対して、一般入学者数は129人と定員充足率は26.9%に留まる。

 人材確保係長(取材時)の高橋継貴さんは「入学者数の減少には、コロナ禍で外国人が入学できなかったことも影響している」と説明する。

 同県での養成校への外国人入学者数は、21年度43人(全体173人)、22年度33人(全体176人)。23年度は19人(全体129人)で、入学者のうち約15%を留学生が占めている。24年度はコロナによる入国の状況も一転したことから、外国人入学者の増加を見込む。

 23年度からはベトナムの日本語学校と連携し、介護福祉士養成校を卒業後、県内の施設・事業所等とマッチングする新事業をスタート。養成校への入学者数の確保や、施設・事業所での受入促進.定着率向上を目指している。

 高橋係長は「国内の生産年齢人口が減っていく中で、介護分野でも外国人に活躍していただくことが必要。マッチング段階から県が支援することで、外国人介護人材を初めて受け入れる施設.事業所にも安心して取り組んでもらいたい」と取組の経緯を説明する。

 24年度も事業を継続し、外国人介護人材のさらなる受入促進に取り組んでいく。

キャリアアップを推進する独自認定制度「ぐんま認定介護福祉士」

 2009年からは介護現場のリーダーとして必要な知識.技能を有する介護福祉士を県が独自に養成.認定する、「ぐんま認定介護福祉士」制度を実施。23年度は新たに24人を認定し、累計857人が認定を受けている。

 対象は▽介護福祉士資格取得後の実務経験が5年以上▽現在の勤務先に継続して3年以上勤務▽所属する介護施設.事業所等の代表者からの推薦――がある人。ターミナルケアや権利擁護、人材育成、多職種連携に関する講義・実習を計220時間受けたのち、認定試験を行う。

 21年度に認定者が所属する介護施設・事業所等の代表者へ行ったアンケートでは、「職場のケアの質が向上した」76.5%、「以前より仕事に対して意欲的になった」64.7%など高く評価されている。このほか、ぐんま認定介護福祉士が勤務していることが「職員の人材育成に力を入れている、環境が整えられている」指標となり、入職のきっかけになる等、人材確保にも繋がっている。

ぐんま介護人材育成制度

 群馬県では介護事業者が行う人材の育成と処遇.職場環境の改善の取組を推進するとともに、その取組を広く公表することで、若者や求職者等の介護業への参入を促進し、職員の定着を目指す「ぐんま介護人材育成制度」を行っている。

 宣言事業者、認証事業者の2種類があり、認証事業者はより厳しい要件を満たす必要がある。独自のチェック&アクション評価シートを活用し職員と施設管理者が自己評価。職員と管理者が一体となって、施設の課題を分析して課題解決に向けて主体的に取り組む点が特徴だ。

 23年度末時点で、宣言事業所は累計184事業者、認証事業者は20事業者となっている。

 同県の介護職の離職率は22年度で12.6%と全国平均と比べ1.8ポイント低い。「働きやすい職場づくりに取り組む事業者が増えることで、新しく介護業界に入職してくれた人にも長く働いてもらいたい」(高橋係長)

認知症の人の希望を叶え、過ごしやすい街づくり

 認知症基本法の施行を受け、認知症者本人がどのような生活をしていきたいのかを聞き取り、希望の生活を実現していく「認知症バリアフリー」の取組みを進めている。

 チームオレンジ等を推進するとともに、本人ミーティングや認知症カフェの開催を市町村で積極的に取組んでもらい、認知症の本人が本心を話せる場の確保に力を入れている。全国実施が呼びかけられている地域版希望大使について、群馬県でも「ぐんま希望大使」として4名を委嘱している(24年3月末現在)。

 健康長寿社会づくり推進課の佐藤友有子認知症.地域支援係長(取材時)は「県では職域ごとに認知症の対応力を高める研修等を各職域団体と連携しながら実施している。普段から高齢者と接する機会の多い、顔なじみの専門職が継続して支援することで、住みなれた地域で暮らし続けられる体制の整備が重要だ」と語った。

(シルバー産業新聞2024年5月10日号)

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