生き活きケア

「湯加減はいかがですか」/デイ・サービスセンター湯~亀(品川区)

「湯加減はいかがですか」/デイ・サービスセンター湯~亀(品川区)

 地域密着型通所介護の「デイ・サービスセンター湯~亀(ゆーき)」(東京都品川区)は銭湯で入浴ができる珍しい事業所。入浴の機能訓練をしながら広々としたお風呂に大勢でゆっくりとつかることができると評判だ。(生き活きケア 157)

デイで銭湯 入浴が至極の時間に

 最寄りの駅から商店街を抜けると、大きな瓦屋根の、一見するとお城のような建物に「新生湯(あらいゆ)」と書かれた看板が掲げられている。銭湯で入浴を提供するデイサービスセンター湯~亀(ゆーき)だ。

 8時45分から14時15分までのサービス提供時間のうち、12時40分から1時間半がお風呂の時間。活動スペースとして利用していた空間から机やいすを運び出すと脱衣所に早変わりする。

 入浴の際は一度に5人の利用者がお風呂場に入る。見守りは脱衣所に1人とお風呂場に3人。しっかりとヒヤリハットを予防し最後まで安心して利用してもらう。

 お風呂場にはシャワーチェアが並び、みんなで並んで体を洗う。可能な限り利用者自身で洗ってもらうが、頭が洗えない、背中が洗えないといった身体状況に合わせて、職員が手伝う。

 もちろん自分で洗うのも大事だが、誰かに背中を流してもらうのも気持ちいいもの。そんなときは職員が要望に応えて洗ってあげることもあるそうだ。

 体を洗った後は、好きなお風呂に入って、一人でくつろぐもよし、大浴槽にみんなで入ればワイワイガヤガヤ。時には合いの手を入れながらの大合唱が始まる。

 血圧の変化で体調が急変しないよう、浴槽に浸かるのは10分間。「転倒やおぼれる可能性があり、非常に気を張る時間です。ですが、体を洗って浴槽に浸かった瞬間の『ふー』というリラックスした声を聞き、気持ちよさそうな表情を見ると、いつもこちらまでうれしくなります」と管理者の渡邉千尋さんは話す。

 泡ぶろはもちろん歩行浴槽など珍しいものもある。

 渡邉さんは「銭湯では浴槽をまたぐ動作や洗う動作など入浴に関する動きはもちろん、歩行浴槽もついており、お風呂の時間でリラックスして機能訓練ができます。加えて、お湯の効能もあり、中には長年困っていた手足のしびれが改善した利用者もいます」とメリットを説明する。
 渡邉さん(左)と新井さん

 渡邉さん(左)と新井さん

銭湯とデイサービスが一体になった

銭湯とデイサービスが一体になった

15時半からは町の銭湯 「新生湯」

 デイサービス終了後、15時30分からは一般の人向けの大衆浴場に。14種類のお風呂があり、種類の豊富さから遠方からも人が訪れる。「今日も来ました」とデイの利用日以外にも来る利用者もたくさんいるそうだ。

 1952年に創業した新生湯は今の社長が2代目。社長である新井重雄さんの母の介護が銭湯デイの始まりだったという。

 夫婦そろってヘルパーの資格を取得したのち、母以外にもボランティアで入浴の手伝いをしていた。そうすると、昔はよく通っていたが、体が不自由になって通えなくなったといった声が多数寄せられた。

 中には半年以上湯船に浸かれていないという人も。そこで、営業時間外の昼間に手伝いが必要な人に開けようとバリアフリー化を決心。手すりやスロープを設置し、床などに滑りにくい加工をするため3カ月間の休業ののち、03年に湯~亀をオープンした。

 「一人ではお風呂に入れないけれど、ずっと通っていた新生湯に行きたい。そういった声にこたえることで、育った街に恩返しを続けていきたいと思います」(新井氏)
銭湯といえば大きな富士山

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シャワーチェアを複数完備し誰もが 使いやすい銭湯に

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(シルバー産業新聞2020年5月10日号)

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