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厚労省 自治体へ文書半減の取り組みなど求める

厚労省 自治体へ文書半減の取り組みなど求める

 厚生労働省老健局は3月6日、「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」を開催し、全国の自治体担当者に向け、同局が所管する介護保険などの施策について説明した。

「文書半減」第一弾は指定申請関連

 総務課からは文書量半減の取組について報告された。昨年、閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」では、2020年代初頭までに、介護サービス事業者に対し行政が求める帳票などの文書量を半減させることを位置づけている。

 まずは5月に指定申請関連の文書を簡素化する省令改正を行う。同課は昨年12月に都道府県・市町村に宛てた事務連絡を発出。指定申請関連の文書で、「国が求める項目で不要なもの」「自治体が独自に求める項目で不要なもの」について案を示し、自治体からの意見を募っていた。

 例えば訪問介護の場合、国が求める項目で不要なものとしたのは、「申請者の定款、寄付行為などおよびその登記事項証明書または条例など」「役員の氏名、生年月日および住所」など7項目。自治体が独自に求める項目でも、雇用・労働・給与関係、組織運営関係など多くの文書を不要とする案を示している。また今年度初旬には報酬請求関連や指導関連の文書についても、実態把握や検討などを進めると説明した。

保険料滞納者の自己負担割合4割に引き上げ

 介護保険計画課からは今年8月より、介護保険料滞納者の負担割合を4割に引き上げる見直しについて説明がされた。介護保険では保険料を滞納し、その徴収権の時効が消滅した期間がある利用者は、その期間に応じて給付額が減額される。現行では自己負担割合が3割となるが、見直し後はさらに引き上げ4割とする。今年8月から現役並み所得者の負担割合を3割へ引き上げることに伴い、給付制限の保険料未納対策の役割を維持するための対応だ。

 事業者には被保険者証に「給付額減額」の旨が記載されている場合、被保険者証と負担割合証を併せて確認し、利用者の負担割合を把握したうえで報酬請求することを求めている。ただ誤った負担割合で請求した場合、国保連の審査支払の過程で判明する仕組みになっていると説明した。

コミュニケーションロボットなど補助対象に

 高齢者支援課からは地域医療介護総合確保基金の説明がなされた。今年度予算案(3月28日に成立)では昨年度と同額の483億円(介護分、国費ベース)を計上。今年度からは介護医療院を対象施設に追加し、開設準備費等支援事業の単価を「1床80万円」に引き上げるとした。さらに同基金の介護ロボット導入支援事業も拡充。補助額を1機器10万円から30万円に引き上げ、「コミュニケーション」「介護業務支援」が対象に加わる。

 また4月に施行された改正介護保険法では、有料老人ホームの適切な運営を推進する見直しが図られた。未届ホームを含め、悪質な有老ホームに対する事業停止命令を新設。自治体の再三の指導に従わず、悪質な事業を続ける事業者への指導監督を強化する。そのほか前払い金保全措置義務の対象を、06 年3月31日以前に届出た有老ホームへ拡大することなども4月から実施される。これらの改正事項が未届ホームにも適用されることを強調した。

包括が地域全体のケアマネジメントを支援

 振興課は地域包括支援センターの機能強化について説明。ケアマネジメント支援について、ケアマネジャーへの直接支援のみならず、地域での適切なケアマネジメント環境の整備も重要とし、「地域全体をターゲットとするケアマネジメント支援」の具体的な内容を今後通知するとした。認知症による徘徊増加の課題に対しての模擬訓練の開催などを例示した。

 また改正介護保険法で市町村などが地域包括支援センターの事業の評価を行い、必要な措置を講じることが位置づけられたことに伴い、全国統一の評価指標の内容や運用も今後通知すると説明。市町村が個々のセンターの業務を把握し、運営協議会などでの検討により、適切な人員体制の確保や業務の効率化を進めるよう呼びかけた。

二次判定簡素化の要件を提示

 老人保健課は4月より、介護認定審査会の二次判定を簡素化できる具体的な要件について説明した。対象要件は①第1号被保険者②更新申請であること③コンピュータ判定結果の要介護度が、前回認定結果と一致④前回認定結果の有効期限が12カ月以上⑤コンピュータ判定結果が要介護1または要支援2の場合は、今回の状態安定性判定ロジックで「安定」と判定されていること⑥コンピュータ判定結果の要介護認定等基準時間が「1段階重い要介護に達するまで3分以内(重度化キワ3分以内)」ではない――の6項目。同課の試算によと、6要件全てに該当するのは全認定申請の22.7%という。

 簡素化の一例として、認定審査会で審査判定などを省き、▽簡素化対象者一覧を確認▽コンピュータ判定結果通りの要介護度を診査判定結果とする――手順を示した。簡素化の方法は法令上の原則を守りつつ、各自治体で決定するが、「最低でも審査会の開催自体は実施することが適当」としている。要介護認定ではこのほか、更新認定の有効期間の上限についても現行の24カ月から36カ月へ延長を認める省令改正を行っている。

(シルバー産業新聞2018年4月10日号)

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