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「できることは自分で」を叶える 【福祉用具と自立生活】

「できることは自分で」を叶える 【福祉用具と自立生活】

 10月1日は「福祉用具の日」。福祉用具を必要とする人のため、利用環境の整備を啓発・普及する日として2002年に定められました。福祉用具によって、自立した生活を手に入れた杉本さんの経験を紹介します。

「杖があれば短い距離なら一人で歩けます」と杉本さん

レンタルを活用し、最適な用具を見つける

 栃木県宇都宮市の杉本孝雄さん(57歳、要介護2)は介護保険の福祉用具貸与でジョイスティック型の電動車いすとクッション、松葉杖を利用している。
 10年前までは自走式の車いすを利用していたが、手のマヒの症状が強くなったことで、坂道を自分の手で漕ぐことが困難になり、電動車いすに変更した。「街中で電動車いすを利用している人を見かけて、使いたいと思った」(杉本さん)。地元で開催している福祉用具の展示会に参加して、自分に合う車いすを探した。「展示会に行くまで、こんなに福祉用具の種類があることを知らなかった」と驚いたそうだ。
 杉本さんが電動車いすを選んだ基準は ①手動で動かした場合の負荷 ②折りたたんだ時のサイズ ③本体の軽さ――の3つ。「電動でも、バッテリーが切れた場合は自分の手で漕がなくてはいけない。色々な状況を考えて、自分に最適な福祉用具を使いたかった」という。
 現在使っている電動車いすはお気に入りで、新しいタイプが出ると交換して継続して利用している。福祉用具レンタルの仕組みは、色々なものを試して交換することができるので本当に自分に合うものを見つけられると話す。

元気なときはリフトを使わず積み込むという

定期的なメンテナンスで、安心して利用

 また、福祉用具レンタルの良さは、定期的にメンテナンスをしてもらえる点もあると杉本さんはいう。「購入の場合は買ったらそれまで。その点、レンタルは専門の人が定期的に点検してくれるのでとても安心して福祉用具を使える」と杉本さん。
 福祉用具サービスを全国展開するヤマシタコーポレーション(静岡市、山下和洋社長)宇都宮営業所の野澤秀輔所長は「私たちは点検だけではなく、会話を通して、他に困っていることはないか、現在の福祉用具で合っているのかをヒアリングしている」と話す。会話の中から、生活での不自由な点などを自然に聞き取るためにも、コミュニケーションはなによりも重要だと話す。
 杉本さんはレンタルしている福祉用具を用途に合わせて使い分けている。家から車や、コンビニでの買い物など、比較的短い距離の移動では、松葉杖を使って外出している。電動車いすはスーパーやホームセンター等、移動距離が長い場合に使って外出している。
 ホームセンターでの買い物は、目当ての商品がすぐに見つからないこともあり、たくさん動くので助かっているそうだ。しかし、危ないから外出は控えたらどうかと周囲から言われることもあるという。それでも杉本さんは「昔から車が好きで、展示会に行ったり運転するのが好きだった。不便不自由があっても、こもらずに外出したい」と意欲を見せる。
 また、杉本さんは外出時の車からの電動車いすの出し入れは全て一人で行うために、車いすを乗せるためのリフトを自宅の車に導入した。「いつでもそばに手伝ってくれる人がいるわけではない。普通の人よりも時間がかかってもできる限りのことは自分でやる」と語った。

野澤秀輔所長と杉本孝雄さん


(福祉用具の日しんぶん2016年10月1日号)

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