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“健康格差”をテーマにディスカッション 2月13日(土)15時からオンラインで

“健康格差”をテーマにディスカッション 2月13日(土)15時からオンラインで

 大阪府羽曳野市エリアで管理栄養士や多職種が集まる「南河内食のネットワーク」は、2月13日、「健康格差」をテーマにオンラインセミナー(定員90名)を開く。開催を前に、基調講演する総合診療医の武田以知郎氏、主催者で管理栄養士の時岡奈穂子氏にお話を伺った。

――健康格差をテーマに取り上げた意図は。

時岡 新型コロナウイルス感染症が広がり始めた昨年の3月頃、小学校が休講になり、子供にお弁当を配る活動をした。すると、毎日、取りに来る子がいて、困窮家庭だということを初めて知った。そのうち、家庭内での虐待があることにも気づいた。貧困で食事がとれず、健康を害していく。経済事情から健康の格差が生まれる。

 日頃の高齢者への訪問栄養食事指導を通じて、支援の受け入れや行動変容には、子供の頃からの“楽しく美味しく食べる食の経験が大切”と実感しているので、こうした問題をどう解決したらよいかと思っていた。

 そこで、地域の健康格差を考えるパネルディスカッションを企画した。パネリストにはケアマネジャーや民間企業、行政の方々に集まって頂く。前半では二人の医師に貴重講演をお願いした。武田以知郎先生には「健康格差とは」、中村三千人先生には「健康格差の実際」と題してお話して頂く予定。

 中村三千人先生は、大阪みなみ医療生活協同組合コープ診療所の所長で、主に被差別部落や貧国層への医療に携わってきた。先生には主に貧困と健康格差について話して頂く。解決策として用いられる「SVS」(ソーシャルバイタルサイン)いうアセスメントについても紹介すると話して頂いた。

 武田以知郎先生は、歴史の香り漂う奈良県明日香村の医師で、明日香村国民健康保険診療所の所長。人口5000人の村で専門医ではなく総合診療医として村民の健康を日々守っている。医療より生活に寄った診療に魅了を感じたし、ケアマネジャーの会を引っ張っている医師でもある。ふわっと暖かく地域をまとめてくれる魅力を感じてもらえたらと思う

――先生は「はっぴーえんど」(小学館 ビックコミックス)という人気漫画のモデルになっていますね。

武田 「はっぴーえんど」の魚戸おさむさんと、ストーリーの展開についてアドバイスさせて頂いている。私がモデルで登場しているのはシリーズの9巻目。あと7巻のストーリーも提供した。それは、中学生の女の子が、末期がんの母親を在宅で見守ることを受け入れられずにいたが、結果、母親と最期まで過ごし、愛情を深めたという話し。担当の訪問医はアイドルグループに熱狂していて、その公演に中学生の女の子を誘って心を変えようとする。医師が医療というより、むしろ生活にまで関わっていく。新米のケアマネジャーが一生懸命に取り組む姿も印象的で、医師とケアマネが一緒に協力していく姿も描かれている。

――明日香村での診療エピソードを教えてください。

武田 ある日、マダニに食われた人がやってきた。食われた跡が残っていたんじゃなくて、マダニが食いついたままやってきた。専門がどうのでなく、そういう治療もしくちゃならない。ここの診療所は何でも困ったことを診る。言ってみれば健康の駆け込み寺。

――高齢者の健康格差とその解決策は。

武田 高齢者の場合、健診や医療を受けないという人がいる。その理由は年金が低くて受けられない、つまり経済的理由で受けられない人。また、教育年数が少ない人ほど未受診者が多いというデータもある。所得が低いと野菜を食べないというデータも出ている。こうした経済、教育、家庭環境などの社会的要因が健康に影響を与えている。

 地域ではゴミ屋敷の問題や、精神疾患者に関わる問題、食難民と呼ばれる問題など、健康格差に繋がる様々な課題がある。こうした健康格差をうまないためには、地域を巻き込んだ取り組みが大事になる。商店のおじさん、おまわりさん、みんなで地域をつくる必要がある。

 社会全体を健康にするためにはどうしたらよいかが課題で、困っている人を下流で救うのではなく、上流で救いたい。つまり成人になってからより、源流である子供期から考える必要がある。そのためにはソーシャルキャピタルと呼ばれる社会資源が大事で、子供食堂をするのも一つの方法だと思う。今回のセミナーでは、そんなアイディアも含めて、職種を問わず地域の皆さんと一緒に考えたい。

――ウルトラマンモデルとアンパンマンモデルとは。

武田 地域医療にはウルトラマンモデルとアンパンマンモデルがある。私は、若いころはウルトラマンモデルだった。ウルトラマンは、敵を倒しにやってくる正義の味方だが、周囲や事後のことを考えず闘い、正義面して去っていく。僻地の医療を変えるんだと意気込み、周囲を考えず動いてきた自分の姿に重なる。

 それに対し、今はアンパンマンモデルを心がけている。アンパンマンは等身大で地域に溶け込み、仲間を大切にしながら、時には自分の頭を分け与え、敵であるバイキンマンを排除せず、うまく付き合う。アンパンマンモデルは地域を再生させるモデルだと思う。言い訳だが、明日香村ではがんばり過ぎず、地域をじっくり看ながら、腰を据えて取り組んでいるつもりだ。

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