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ねんりんピック新聞 2025in岐阜 インタビュー オリエンテーリング

ねんりんピック新聞 2025in岐阜 インタビュー オリエンテーリング

世界を走破する
体力・読解・観察力
美濃加茂市 鹿野勘次さん(78)

 オリエンテーリングは、地図とコンパスを使って自然の中に設置されたチェックポイントを順に探し出し、できるだけ早くゴールする競技。コースは多様な環境に設定され、▽山の中を駆け抜ける体力▽現在地と目的地を把握する地図読解力▽走りやすい地形や最短ルートを見抜く観察力――が試される。
 定年まで高校で地学教師をしていた鹿野勘次さんは、62歳でオリエンテーリングを始めた。マラソンをやっていて体力に自信があったこと、専門分野の岩石や地形などを観察する楽しさを知ったことで、あっという間にのめり込んでいった。ピーク時は毎週土日に大会に参加。週末を待ちきれず、平日に以前走ったコースを1人で走破することもあった。「競技そのものも、景色を見ることも、全てがとにかく楽しくて仕方なかった」。

64歳からはさらなる挑戦のため、年1回のペースで海外遠征を開始。オリエンテーリングが盛んなフィンランドやスウェーデンといった北欧のほか、ニュージーランドやオランダ、ブラジルなど10カ国以上で大会に参加した。今年は7月に約3週間かけてスコットランドとスペインを訪問。2年に一度開かれる大会に参加し、6日間で6試合を戦い抜いた。
 体力維持の秘訣は、毎朝2時間欠かさず行う農作業。20〜30㎏の肥料の運搬や中腰での草むしりなど、全身をくまなく使った動作は必然的にトレーニングになっている。

ニュージーランドで突然コンパスが狂った理由は?

 さまざまな環境でオリエンテーリングを経験してきた鹿野さん。特に印象に残っているのは、ニュージーランドの海岸でのこと。海沿いから少し離れた砂丘でコンパスを取り出すと、針がゆらゆらと不安定に揺れていた。競技用は精密で、走っても針がブレないほどの安定性を持つはず。疑問に思い調べると、大量の砂鉄の影響でコンパスが狂っていた。「珍しい体験でとても驚いた」と振り返る。
 オリエンテーリングを始めて15年以上が経ち、年齢に伴う判断力の鈍りも感じている。地形を見て進む方向を判断する正確さは、以前は約9割だったものの、最近は6割程度に低下。ロス率(ポイントを順調に回れた場合の時間と比べて余計にかかった時間を示す)は、日本大会では5%未満だが、スコットランドでは30%超と、オリエンテーリング先進国のレベルの高さを痛感した。

 ねんりんピックでは中〜上級にあたるクラスLに出場。「長距離でコースも高難易度だが、難しい方が面白い」と意気込む。また鹿野さんが80歳を迎える27年には、兵庫県でワールドマスターズ選手権が開催される。世界の強豪が集まる大会で上位を狙うことが一番の目標だ。

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