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多世代で暮らす多様な住まい「那須まちづくり広場」      (栃木県那須町)

多世代で暮らす多様な住まい「那須まちづくり広場」      (栃木県那須町)

栃木県那須町に、廃校になった小学校をサービス付き高齢者向け住宅にしたところがあります。「那須まちづくり株式会社」が造った共生型コミュニティ「那須まちづくり広場」です。

  敷地内には多様な住まいがあり、元気な人や若い世代、高齢者も障がいのある人も暮らせる住まいや、看取りの人専用の住まいも。ペットと一緒も可で、働きたい人は働ける場があるなど特徴がいっぱいあります。広い敷地内には、住まいのほか文化ゾーンなど色々あります。
  多世代がともに暮らし、自然の中で暮らせるという魅力のほか、費用も比較的リーズナブルというのも大きなポイントです。那須まちづくり広場の代表.近山恵子さんは、これまで「伊豆の友だち村」や「団地プロデユース型コミュニティ再生計画」などを展開してきた方です。

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  高齢者住宅では、入居者への日常的な生活支援自体が仕事になるので(カフェやデイサービス、送迎車の運転など)、入居者はそれらに従事しお金を得ることもできます。結婚しないで生きてきた人も多くいて、血縁家族がいない人はここで「ともだち家族」を作ればいいというのも魅力。仲が良くても悪くても価値観でつながり、顔見知りの関係を大事にしながら、適度な距離感で付き合っています。
  居室の広さは色々で(29.16~66.25㎡)、費用は1347万~3020万円まで。これは15年分の家賃前払いで、16年目以降の家賃は不要です。15年以内に解約する場合は、返還金を日割り計算して返金します。敷金は家賃の2カ月分。月々はサポート費3万3000円と共益費8000円の計4万1000円(一人入居の場合)。
  カフェでの食費は朝食.昼食は550円、夕食770円(予約制)ですが、居室内にキッチンがあるので自炊をしている人も多くいます。食材は広場内にある「マルシェ」で手に入れたり、近隣の畑での野菜作りで調達することもできます。

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ひろばの家・那須1

  60歳以上で自立の方向けのサ高住です。
  校庭だった場所に2棟続きのサ高住が49戸。部屋も29.16㎡からあり、キッチンやトイレ、洗面所、洗濯機置き場、お風呂、押し入れ付き。全室南向きで、ベランダに洗濯物も布団も干せます。
  その中の9戸は、東日本大震災の時に仮設住宅として使われたログハウスを再利用(29.16~66.25㎡)。今までの仕事を続けている人もいるし、新しく仕事をしたい人はこの中(那須まちづくり広場)で仕事をすることもでき、畑仕事をしている人、ペットと暮らす人などさまざまです。運営は那須まちづくり株式会社。

ひろばの家・那須2

  昼夜を問わず見守りのある、60歳からの住宅プラス介護の住まいで、介護が必要になった人向けの高齢者住宅です。
  要介護1以上の人向けで全26室。プールを改修した住まいで天井が高く、明るくて広いスペースです。生活リハビリや体操などを取り入れて本人の気持ちや状態を維持し、気持ちが明るくなるように、24時間駐在の介護スタッフが心と体のサポートをしてくれます。運営はワンラウンド株式会社。

ひろばの家・那須3

  元校舎の2階東側にある「多世代共生のセーフティネット住宅」です。
  居室の広さは266㎡~459㎡(1K、1DK、2LDK)で計13戸。
教室を改造したので天井が高く窓が大きい住まいです。子育て世代や那須町に移住したい人にお勧めです。自分が暮らしているゾーンの中で働く、ボランティアを経験する、新たな仕事を作っていきたいなどという人にお勧めの月額賃貸住宅です。運営は那須まちづくり株式会社。

人生最期の完成期を過ごす「みとりえ那須」

  自分らしく生ききりたい人の生きる力を奪わず、「暮らしあう」日々を守ることに力を入れています。「病気を抱えた人も、最期の最期まで自然体で暮らせる場所を――という思いを込めて看取りに向き合っています」と看護師の佐久間洋子さん。
  こちらも仮設住宅だったログハウスを移築したもので、ヒノキのお風呂や信楽焼のお風呂もあります。たん吸引や点滴などの対応も可能です。運営は檜創建株式会社。

パブリックスペース

  マルシェ(新鮮な野菜、自然食品、総菜の販売)、カフェ「ここ」、天然工房のパンと自家焙煎珈琲、菓子工房、ゲストハウス、音楽工房、ホール、アートギャラリー、ブックギャラリーなどがあります。ワーカーズコープ.センター事業団と個人事業者、那須まちづくり株式会社が運営。

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  このほか敷地内には、友人や家族が宿泊できるゲストハウス(大人素泊まり3500円)や介護事業所も3カ所あります。さらに「ひろばの家・那須1」は増築計画が進行中で、来年1月には入居開始予定です。
  見学するところが多く、見て回るだけでも目が回りそうになりますが、澄み渡った真っ青な空のもと空気が澄んでいて、雑木林に囲まれたとても穏やかな環境です。
  ここの魅力は、若い人も多くいるので活気があること、高齢の入居者で働きたい人には仕事があること、高齢者も元気な人が多いことです。なんというかワクワク感があるのです。
「ヒト、モノ、カネ、情報」を補い合う、そのための仕組み作りを作る、つまりはみんなが安心できる仕組み作りを実践する――。それが那須まちづくり広場です。

  問合せは、那須まちづくり株式会社(TEL0287・74・3434)まで。(取材・文=栗原道子)

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