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ねんりんピック新聞 2026in埼玉 インタビュー 空手道

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不屈の精神で「武道に引退なし」
川口市 山口直美さん(60)

 「いつか全国大会で会おうね」。テニス部で切磋琢磨した友人が中学卒業を機に引っ越すことになったとき、そう約束を交わした。ところが、進学先のテニス部は全国大会に手が届きそうにない実力。これでは約束が果たせない。諦めきれずに選んだのが、全国常連の強豪として知られる空手部だった。45年前、一風変わったきっかけで空手を始めた山口さんは、今や日本マスターズの「形・組手同時優勝」という20年間破られていない記録を持つ。ねんりんピックへの出場は今年が初となる。
 普段は児童発達支援の施設で働き、自宅では整体の施術を行いながら、空手の師範としても活動する。道場に通うのは、子どもから70代までの約70人。「今年の国スポの県代表に生徒の一人が選ばれた」と話す表情からは、教え子の成長を心から喜ぶ様子が伝わってくる。

 自身も現役まっしぐら。「基本・形・組手のいずれかが欠けたら、空手ではない」という信念から、形と組手を両立する。実際に相手と向き合う組手の経験があるからこそ、形でも実戦を思わせる、いきいきとした表現ができるという。毎年、県代表の座を勝ち取って日本マスターズへ出場し続け、あと2年で20年連続出場を成し遂げる。
 並行して、審判員の資格取得にも挑戦。段位やスポーツ指導員資格、審判歴などさまざまな受験要件があり、実技や筆記試験も課される。「本を枕にして寝ていた」というほど努力を重ねた山口さんは、先日、形審判員で最上位の全国Aクラスに合格。喜びもつかの間、次は組手の全国Aをめざし、多忙な日々の合間を縫って研鑽を続けている。身体のしくみを熟知する整体を学ぶ中で習得した身体の構造や筋肉のしくみなどの知識は、どこに余計な力が入っているのかを見極めたり、根拠に基づくアドバイスにつながるなど、指導にも活きている。自身も、長年の稽古の積み重ねと、身体構造への豊富な知識により、無駄な動きが減ったそう。年齢とともに衰えた部分を補いながら、自分の得意な部分をより生かせるようになったといい、「今、高校生のときの自分と戦っても勝つ自信がある」と胸を張る。

 整体を始めたきっかけは、空手を通じて仲を深めた親友が、がんを宣告されたことだった。少しでも痛みや苦しみを和らげたい一心で整体を学び、整体院で勤務して経験を積んだ。別れはほどなく訪れたが、当時身につけた知識や技術は、自身の空手人生に欠かせない要素の一つになっている。「親友がつないでくれた大切な縁です」。
 最後に山口さんは、恩師の教えを口にした。「武道に引退なし」。持ち前の粘り強さと尽きることのない向上心で、「生涯現役」を胸に、全国から選手が集うねんりんピックに挑む。

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