コラム

《福祉用具で解決!介護の困りごと》「痛みと息苦しさがつらくて眠れない」/特殊寝台(加島守さん)

《福祉用具で解決!介護の困りごと》「痛みと息苦しさがつらくて眠れない」/特殊寝台(加島守さん)

 布団に寝ていての困りごとの種類を挙げてみると、▽布団を上げるのが大変になった▽起き上がるのが大変になった▽布団から立ち上がるのが大変になった▽腰が痛くて夜眠れない▽息苦しくてなかなか眠れない▽布団に寝ていると介護しづらい――など、人によってそれぞれあると思います。こうした困りごとは特殊寝台と呼ばれる電動ベッドで解決することができます。


 特殊寝台には複数のモータにより背上げ機能、膝上げ機能、高さ調整機能、傾斜機能があります。これらの機能を使うことにより、困りごとを解決できます。これらの困りごとを特殊寝台で解決できた事例を紹介いたします。

Kさんの事例

 Kさんは奥様と二人暮らしの75歳の男性です。3年前に尻もちをつき第12胸椎圧迫骨折と診断され、腰痛により寝ているときの痛みと起き上がりに困っていましたが、ある日の朝、呼吸が苦しくて目が覚めてしまいました。   Kさんは上を向いても横をいても苦しくて仕方がありません。もともとの腰痛と息苦しさで、起き上がれないことよりも寝苦しさの方がつらく、たまらずに救急車を呼びました。

 心房細動による不整脈ということで、ベッドに横になって点滴を受けたとき「少し背を上げると呼吸が楽になると思いますよ」と担当医に言われ、病院のベッドではリモコンで背中と膝を少し上げて点滴を受けてみました。   するとだんだん呼吸も楽になってきました。また、息苦しさばかりでなく今までつらかった腰の痛みも軽くなり、これまでが嘘のようにぐっすり眠ることができました。

 退院するとき、息苦しさはなくなりましたが腰痛といつ襲われるかわからない息苦しさ、そして布団からの立ち上がりが大変なこともあり、今までの布団ではなくベッドに変えたほうが良いとKさんは思いました。そこで病院の医療相談室に相談したところケアマネジャーの方を紹介され、介護保険の申請をすることになりました。要介護1と認定されたKさん。特殊寝台の利用を相談すると、例外給付で借りることが可能ということでした。

 福祉用具専門相談員の提案で、マットレスは腰痛のことを踏まえて腰が沈まずに、適度な柔らかさのものを、さらに特殊寝台は背もたれと膝を別々に上げることができ、立ち上がりが楽にできるように高さの調整を行えるものをレンタルすることにしました。

 布団で、腰の痛みと息苦しさがいつ襲ってくるのかわからなかった以前と比べて、今では快適に眠ることができ、朝起きた時も爽快に起き上がることができます。しっかりと睡眠がとれるので、今では朝起きてから散歩を少しずつ始めたいと思うようになりました。
 かしま まもる
 高齢者生活福祉研究所 所長

(福祉用具の日しんぶん2022年10月1日号)

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