連載《プリズム》

緩めてならない感染防御

緩めてならない感染防御

 感染者数が増大しても、経済優先を続ける政府の姿勢に、理解はしても、医療や介護の現場は危機感を募らせている。病院や高齢者施設での感染連鎖が心配だ。(プリズム2020年8月)

 新型コロナでいまは求人倍率が急落しているが、 幸いにしてワクチンができ、新型コロナが収まれば、今後一層の需要拡大によって、特に介護人材不足は倍返しで降りかかってくるに違いない。いまこそ社会は、医療や介護の施設での感染症リスク対策には十分なコストをかけて、教育・訓練を行い、心配なく感染防護用具を使えるようにして、安心安全に従事できる必要がある。先の緊急事態宣言の時にも、社会福祉施設は、医療機関や食品スーパーなどと同様に休業要請の対象にはならなかったし、社会・経済を回している今も社会福祉施設の置かれている状況は変わらないのだから。

 新型コロナでかき消されたように見える介護人材不足感だが、向こう20年間は、要介護状態の発生率が高い85歳以上人口が5年ごとにおよそ100万人ずつ増える見込みだ。85歳以上人口は、2015年の494万人から、25年後の40年には1024万人に倍増する予測だ。支え手となる生産年齢人口が減少する中で、85歳以上人口●爆発が起きている。私たちは、甚大な自然災害に加えて、 感染症 (パンデミック)をも敵に回して、想定を超える諸事態にもまれながら、連携を武器にして多様な人々の医療・介護ニーズと戦おうとしている。手を止めることができないのが医療・介護であり、だからこそ感染防止には万全でのぞむ環境を作っておかなければならない。

 一方で「コロナフレイル」の問題がある。緊急事態宣言の折、大阪府や兵庫県では特措法に基づき利用者に対してデイ利用の自粛の要請を行った。社会福祉施設は休業要請の対象ではないが、デイとショートのサービスについては、感染リスクを避けるため、できる限り自宅でみるように要請した。本紙4面に大阪府堺市と名古屋市での「コロナフレイル」 の調査結果を掲載している。調査にあたった大阪経済大学の高井逸史氏(理学療法士)はデイ利用自粛時の在宅での体操を強く勧めている。

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