連載《プリズム》

6つの「自立」

6つの「自立」

 介護のキーワードである「自立支援」。福祉用具と相性がよい。ソーシャルワークの権威で、理事長を務める大橋謙策さんが監修したテクノエイド協会編集の新刊「新しい福祉機器と介護サービス革命」(日本医療企画)の序章で、「自立」生活の要件を6つ上げた。(プリズム2014年9月)

 福祉機器が社会福祉の現場実践を改革する可能性について検討している。冒頭では、社会福祉の基本理念が個人の尊厳の保持をめざし、地域での自立生活を支援するものへと大転換されたことで、「自立」の考え方が大きく変わったと指摘。憲法第25条の「生存権」を根拠にした考え方から、第13条の「幸福追求権」に基づき、福祉サービスを必要とする人の自己実現を図る考え方に変わった、と述べる。

 6つの「自立」生活の要件とは、

①労働を通じて社会とつながり、創造する喜びを得る「労働的・経済的自立」。人間の成長の重要な要件である。福祉機器を使うことで労働する機会は増える

②自ら感じたことを自己表出させる「精神的・文化的自立」。思うところを多様な方法で感情表出する権利。意思伝達装置は、福祉機器の中でも重要な役割を担っている

③生活のリズムを保ち、生きる気力、生きる意欲を持てる「身体的・健康的自立」。座位保持装置や、服薬の時間を知らせる福祉機器がある

④自ら生きていくうえで生活を整える、日常生活を維持していく技術や知恵、そうした「生活技術的・家政管理的自立」がある。分別してゴミを出すこと、バランスのよい食生活を送ること。成年後見制度や日常生活自立支援事業などが関わる

⑤「社会関係的・人間関係的自立」。新しい技術であるパソコンなどを活用したコミュニケーションや、豊かな社会関係を築けない人々の安らぎや癒やしを福祉機器は保障する

⑥そして、1人の人間として自律的に意見を言い、契約する「政治的・契約的自立」。――以上、6つの「自立」が、地域での自立生活をする上で、同居する家族への支援などとともに、福祉用具の活用がその手立てのひとつになると説明する

(シルバー産業新聞2014年9月10日号)

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