インタビュー

厚労省 齋藤高齢者支援課長 地域の実情に合わせたサービス運営を(後編)

厚労省 齋藤高齢者支援課長 地域の実情に合わせたサービス運営を(後編)

 2040年に日本の高齢者数がピークを迎える一方で、地域によってはすでにピークを越え、介護が必要な利用者数が減少しているところもある。厚生労働省老健局の齋藤良太高齢者支援課長は「地域の実情に合わせたサービス展開を考えるべき時代に入った」と話す。高齢者支援課での取組みを聞いた。後編は福祉用具の展望について。

通信機能などの「複合機能」を持つ福祉用具の保険適用

 現在、介護保険の対象となる福祉用具の範囲などを検討する「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」では、通信機能などの複合機能を持つ福祉用具の評価・検討方法についても議論してもらっている。

 また、福祉用具の有効性・安全性についてどのように評価していくかも課題で、審査の基準を定めた上で、実際に進めていきながらブラッシュアップを図っていきたいと考えている。

複合機能が一体となった用具についても検討

(図2)複合機能を有する福祉用具の取り扱い

(図2)複合機能を有する福祉用具の取り扱い

 これまでは通信機能など、介護保険対象種目に該当しない機能があった場合、その機能が一体化している場合は、その全ての機能が介護保険では認められてこなかった(図2)。

 しかし、「保険対象種目に該当する機能」を成立させるために、「保険対象種目に該当しない機能」が必要となるケースも中にはある。

 このような製品を、一律に保険対象外と判断することは、福祉用具の進化・発展を阻害する要因にもなってしまう。複合機能があってしかるべきだと多くの人が合意できるのであれば、認めていく必要がある。

 ただし、複合機能がラグジュアリー的な機能である場合には給付対象としてふさわしくない。 複合機能については一律に判断できるものではなく、総合的な判断で一つひとつ審査しなければいけないと考えている。

 そのための基準となる考え方を明確にすることで、審査の透明性を確保していきたい。抽象的な基準になる可能性はあるが、できる限りのものを示していきたいと考えている。

特定施設での福祉用具貸与は慎重な検討必要

 介護給付費分科会のヒアリングにおいて、特定施設入居者生活介護で福祉用具貸与を認めてはどうかとの要望が出た。

 今までは、特定施設の報酬の中で福祉用具を含めて利用者をケアしていくという運用をしてきた。それを今から福祉用具貸与を入れると、これまで特定施設でみていたはずのものをどうするのかという問題が出てくるため、慎重な検討が必要になる。

見守りロボ導入の人員基準緩和、実証実験中

 18年介護報酬改定で、最低基準を1人以上上回っている場合に算定できる「夜勤職員配置加算」について、全入所者の15%以上で見守り機器を設置している場合には、夜勤職員0.1人削減できる要件とした。

 しかし、「0.9人ではほとんど変わらない」とのご意見も多くいただき、今まさに、どのくらいの労力が縮減できるかについて、実証実験を行っている。実証結果によっては対象施設の拡大や加算の拡充なども考えられるだろう。

介護施設での災害対策 「停電時にも1週間保つ環境」を

 私が就任してから、去年は台風15号により千葉県などで大規模な停電が発生し、今年は熊本県の球磨村で大きな水害があった。

 災害対応は、各施設しっかり取組む必要がある。地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金の中で、非常用自家発電の補助を行っているが、今回新たに水害対策に伴う改修も対象に加えた。

 何日も維持できるような非常用自家発電機を設置することで、停電時に一部の空間だけでも冷房が使えれば、夏場の熱中症を予防できるような環境を作っていただきたい。

 特に懸念しているのが首都直下型と南海トラフ地震。電源車を派遣しても、道路の状況が悪ければ行けない地域が出てくる。

 1週間程度を目安に、避難計画や業務継続計画などを立てて、必要な備品や地域の連携先などを確認してほしい。

(シルバー産業新聞2020年10月10日号)

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