連載《プリズム》

病床と在宅の一体改革

病床と在宅の一体改革

 今通常国会では、介護保険法と医療法の2015年一括改正案が審議される。国家試験の合格と体系だった教育研修をすべての介護福祉士の要件とする社会福祉士・介護福祉士法の施行を、1年間先延ばしする内容も含まれる。(プリズム2014年2月)

 医療法改正では今後、病院の機能を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分ける。平均在院日数を短縮して、年間1兆円ずつ増大する医療費の伸びの抑制をめざす。看護体制が7対1である一般病床は、現在36万床あるが、これも病床の再編を通じて減らしたい意向だ。

 06年の診療報酬改定で創設された7対1病床は、高い報酬設定により病院に看護師を集約させてしまった。国には、これが訪問看護師の不足に拍車をかけたという反省がある。

 国は補助金と診療罪酬によって誘導を図る。各病院に、どの病床を選ぶのかを都道府県に報告させる「病床機能報告制度」を設けた。各病院からの意向を踏まえて、都道府県は「地域医療ビジョン」を策定する。ただ、介護療養病床の再編の時も、国は転換型老健の創設など様々な移行策を準備したが、思うに任せず。ついには湿存の声も聞かれるようになった。「進むも、留まるも厳しいのなら、あわてることはない」というのが病院の本音かも知れない。

 病院から退院してきた人を在宅で受け止めるには、在宅医療とともに、介護や地域生活を支える仕組みが必要になる。これからは亡くなる人が急増してくる。9割近い人たちが病院で亡くなる現状のままでは、病床再編を進めることは難しい。在宅で看取る地域の仕組みづくりと病床再編を一体に進める理由がそこにある。15年改正により、第6期の介護保険事業計画は在宅医療を推進する「地域包括ケア計画」を組み込む。

 介護保険事業者は、生活、介護、医療など多面のニーズにチームで臨むことが求められる。個別のケアマネジメントを行う地域ケア会議での発言や対応は、地域のネットワークの信頼を得る最大のチャンスになるだろう。

(シルバー産業新聞22014年2月10日号)

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