連載《プリズム》
高齢者施設クラスター 4月急拡大
全国の新型コロナウイルス感染症のクラスター数が6609件(4月26日)になった。
1000件を超えたのが昨年8月だったが、11月に2000件になってからは、毎月約1000件のペースでクラスターの累計が増大してきた。
6609件のうち、もっとも多いのが高齢者施設1317件、次いで企業1278件、飲食1216件、医療施設1086件。
障がい(151件)と児童(313件)の施設を加えた医療・福祉施設合計は、2867件に及ぶ。クラスター全体の43%になる。
年末から1月にかけて週100件を超えるクラスター発生があった高齢者施設だが、3月には週20件程度まで抑えられたのが、4月に入り週22件、28件、43件、48件と急上昇してきた。医療施設も同様に増大している。関西圏や東京では3回目の緊急事態宣言が発せられた。大阪では、感染者を受け入れる病院のベッドが満杯状態になっている。日本全体の死者数は1万人を超えた。死亡者の95%が60歳以上の高齢者であるという現実が、施設や介護事業者にのしかかっている。
どう防げばよいのか。変異ウイルスの防御は、これまでのマスク・手洗いの励行というレベルで大丈夫か。4月7日、国立感染症研究所は、「感染・伝搬性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルスの新規変異株について」(第8報)を発信した。ポイントは、変異株感染者の割合が国内でも増加、「英国株」が大半を占め関西圏で増加傾向にあり、従来株に比べて感染・伝搬性が高いとみられる、など。「感染対策は従来株・変異株を問わない。感染者急増を極力回避するため、対策の強化・徹底を推奨」「すみやかに社会的な感染機会の抑制を図り強力な対策を行う」とする。
高齢者施設や医療機関が実施するコロナ防御策への国の支援は十二分でなければならない。ケアの手袋やエプロンは使い捨てにできているか。N95マスクなどの医療用マスクも必要だ。国は変異ウイルスに負けない防御策を示す必要がある。
期待のワクチンは5月連休明けから、医療者、高齢者、介護職員などに行き渡るというニュースがある。
(シルバー産業新聞2021年5月10日号)