生き活きケア

自立支援や多世代への介護の魅力発信/同和園(京都市)

自立支援や多世代への介護の魅力発信/同和園(京都市)

 社会福祉法人同和園(京都市、五十嵐隆明理事長)は、人材育成・定着の取組みを積極的に行い、京都府が人材育成の仕組みや定着率等を評価する「きょうと福祉人材育成認証制度」で最高評価の上位認証を取得している。同法人で活躍する職員に業務内容や、今後の目標などを取材した。

「利用者が主体的に取り組む介護の実践」中谷昌己さん

 社会福祉法人同和園入職14年目の中谷昌己さん(ケアワーカー)は特養での勤務を経て、2年前から自立支援介護に取組むデイサービスに配属。「してあげる介護(職員が中心となった介護)」から「利用者の主体性を促すケア」の実現を目指している。

 例えば、入浴介助時に「まず、頭を洗いましょう」という声掛けは、職員が利用者に次の行動を指示しており、利用者の自発的な入浴にはなっていない。

 利用者が選択できる声掛けや、質問形式での会話などを通じて、自発的な行動を促す声掛けを徹底している。

 「自分で行動し、できるようになれば、利用者が感じる達成感も強くなると思う。職員とも『利用者が主体的に取り組む重要さ』を共通認識として持ち、取り組んでいきたい」と話す。

 このほか、中谷さんはケア内容のマニュアル化(言語化)も実施。「これまでは介護を感覚的に行っていることもあった。なぜそのケアが利用者に必要なのかを感覚ではなく、誰もが説明でき、取り組めるよう、職員の技術の土台を作り、利用者の自立に繋げるデイサービスを目指す」と意気込む。

「利用者に寄り添って最適なケアを提供する」田中志穂さん

 入職2年目の田中志穂さん(ケアワーカー)は、幼い頃に母親(栄養士)が勤務するデイサービスについて行っていた。

 祖父の介護も経験し、「人と人との関わりが持てる施設で勤務したい」と介護業界への就職を決めた。

 同法人を選んだ理由は、職員同士の関係がよく、相談しやすい雰囲気や、職員それぞれの考えを尊重した取組みに魅力を感じたからだという。

 忘れられない経験がある。気難しい利用者への食事介助で、1カ月以上かけ対話をして、「このようなケアをしてほしい」と要望を言われた時に、自分のケアに安心して希望を言ってもらえる関係になれたことだ。

 「利用者の中には、自分の感じていることを言葉にしにくい人もいる。表情から状態を把握するとともに、身体状況を把握し、できることを増やせる生活環境を作りたい」と今後の目標を話す。

「多世代へ向けて介護の魅力発信」松田直也さん

 10年目の松田直也さんは現在、特養に勤務しユニットリーダーを務めている。

 松田さんは学生向けに介護の魅力を発信するセミナー講師なども務める。このほかにも、同法人のブログで介護に関する思いや、利用者とのうれしい出来事などを発信している。

 一番思い出に残っている出来事は、2年前に特養で開催した、演芸大会で利用者Aさんと一緒に腹話術を披露したことだ。

 Aさんは会話が好きだが、病気の影響で話したいことを伝えるのに時間がかかってしまい、ゆっくりと会話の時間を確保できずにいた。

 松田さんは、Aさんに好きなだけお話してほしいと思い、演芸大会でコントをやりましょうと声をかけた。

 しかし、職員が利用者に対してツッコミをしてもいいものかと悩んでいたところ、ほかの職員から「腹話術人形を医者と患者に見立ててコントをすれば、敬語でツッコミをしてもおかしくないのではないか」とアドバイスされた。

 ぬいぐるみの提供や、衣装づくりなど、他の職員の協力を得ながら、演芸大会は盛況に終わった。

 Aさんも、台本を考えたりと、とても楽しんでいたという。演芸大会終了後は、Aさんがほかの利用者と会話する機会も増えた。

 松田さんは「Aさんに喜んでもらいたいという目標を、周りの職員のサポートも受けながら達成できた忘れられない経験だった」と語る。

 このほか、松田さんは、職員に合わせた育成環境やサポート体制を工夫している。

 「職員にとって、より働きやすい職場を作っていきたい。そして今後も多世代に向けて介護の魅力を発信していきたい」と職場のリーダーを自負している。
(シルバー産業新聞2021年2月10日号)

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