生き活きケア
1日5分の体操で足の力を復活(東京都・特養いずみの苑)
特別養護老人ホーム いずみの苑(東京都板橋区、橋本祐一施設長)は、転倒予防のための足指体操を昨年から実施している。わずか5分の体操を毎日続けることで、拘縮した足指をほぐし、身体を支えてしっかりと歩く本来の機能を呼び戻す。認知症の人でも「歩かせない」のではなく、「歩けるようにする」ケアに取組む。
指を広げ・体を支え・踏ん張る
「足指体操」はもともと、子供の脚力強化や、成人の足腰の痛み予防を目的に、みらいクリニック(福岡市)フットケアセンター長の理学療法士・湯浅慶朗氏が考案したセルフケア体操。足の指の間に、自分で手の指を1本ずつ挟みこむことで、可動域を広げ足全体で体を支えられるようになる。そうすることで、歩行に重要な土踏まずのアーチの再建や姿勢の改善につながるという。
「いずみの苑」では利用者自らではなく、職員の手で行われる。アレンジしたのは同施設ケアマネジャーの齋藤隼人さん。「高齢者の場合、加齢や筋力低下以外にも、拘縮などで足の指が変形すると、歩行の時に上手く踏ん張れず転倒のリスクを高めてしまいます」と説明する。直接触れると皮膚を傷めたり、内出血を起こすこともあるので、必要な人には指の間にパッドを挟み、力加減には細心の注意を払う。
手順は ①固まった筋肉をほぐすように、足全体をマッサージ ②足指全体と、1本1本をゆっくりと広げる ③指を足の甲の側に反らす ④足指を足裏に曲げる(5秒間隔で何度か繰り返す)――で、1回約5分。「長くやれば効果的というわけでもありません。利用者も職員も負担がかからない短時間で、毎日繰り返すことが重要です」(齋藤さん)。
外反母趾や、拘縮が原因で指が曲がっている状態から、自分で指を開けるようになる。早い人で、2週間で姿勢改善や、歩行距離が伸びてくるなどの効果も。さらに、血流がよくなることで、むくみの解消にもつながるという。
「いずみの苑」では利用者自らではなく、職員の手で行われる。アレンジしたのは同施設ケアマネジャーの齋藤隼人さん。「高齢者の場合、加齢や筋力低下以外にも、拘縮などで足の指が変形すると、歩行の時に上手く踏ん張れず転倒のリスクを高めてしまいます」と説明する。直接触れると皮膚を傷めたり、内出血を起こすこともあるので、必要な人には指の間にパッドを挟み、力加減には細心の注意を払う。
手順は ①固まった筋肉をほぐすように、足全体をマッサージ ②足指全体と、1本1本をゆっくりと広げる ③指を足の甲の側に反らす ④足指を足裏に曲げる(5秒間隔で何度か繰り返す)――で、1回約5分。「長くやれば効果的というわけでもありません。利用者も職員も負担がかからない短時間で、毎日繰り返すことが重要です」(齋藤さん)。
外反母趾や、拘縮が原因で指が曲がっている状態から、自分で指を開けるようになる。早い人で、2週間で姿勢改善や、歩行距離が伸びてくるなどの効果も。さらに、血流がよくなることで、むくみの解消にもつながるという。
「歩かせる」 転倒予防
認知症の場合、1人で歩き回ることによる転倒が心配の一つ。同施設の利用者Kさん(99歳女性、要介護4)は、普段車いす中心の生活だが、たまに居室内を歩行器で移動し、転倒することが何度かあった。見守り体制の強化を試みたが、職員の負担が大きくなるばかりで、根本的な解決にはならなかった。そこで足指体操をはじめることにした。
その結果、開始前は月6回ほど転倒していたのが、実施後は1回に減少。「足が伸びている感じがして、とっても気持ちいい」と本人も終始笑顔で、和やかな雰囲気で体操に取り組める。固まっている指を少しずつほぐしていく際も、「丁寧にやってもらっているので、痛みはまったく感じない」そうだ。
同施設では、より足指の力をつけるため、タオルを足指でつかむ運動も独自に取り入れている。「可動域がある程度広がってきたら、次は自ら動かしていくことが大切。しっかり歩けることでどこへ行きたいか、何をしたいか具体的な目標を持って取り組んでもらえるよう支援していきます」と齋藤さんは話す。
齋藤さんは、施設職員向けにマニュアルと動画も作成。誰もがその日から実践できるよう、今後は施設のホームページでマニュアル動画の公開も検討しているそうだ。「特別な道具や高度な技術がいるわけではない。5分で簡単にできるのだから、レクや介護予防の一環としても広まってほしい」と普及に期待を寄せる。
(シルバー産業新聞2018年6月10日号)
その結果、開始前は月6回ほど転倒していたのが、実施後は1回に減少。「足が伸びている感じがして、とっても気持ちいい」と本人も終始笑顔で、和やかな雰囲気で体操に取り組める。固まっている指を少しずつほぐしていく際も、「丁寧にやってもらっているので、痛みはまったく感じない」そうだ。
同施設では、より足指の力をつけるため、タオルを足指でつかむ運動も独自に取り入れている。「可動域がある程度広がってきたら、次は自ら動かしていくことが大切。しっかり歩けることでどこへ行きたいか、何をしたいか具体的な目標を持って取り組んでもらえるよう支援していきます」と齋藤さんは話す。
齋藤さんは、施設職員向けにマニュアルと動画も作成。誰もがその日から実践できるよう、今後は施設のホームページでマニュアル動画の公開も検討しているそうだ。「特別な道具や高度な技術がいるわけではない。5分で簡単にできるのだから、レクや介護予防の一環としても広まってほしい」と普及に期待を寄せる。
(シルバー産業新聞2018年6月10日号)