生き活きケア

住宅内に駄菓子屋/サ高住 「銀木犀 船橋夏見」(船橋市)

 住宅内に駄菓子屋/サ高住 「銀木犀 船橋夏見」(船橋市)

 シルバーウッド(千葉県浦安市、下河原忠道社長)が運営するサービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」(ぎんもくせい)は、地域での多世代交流の一つとして全拠点に「駄菓子屋」を構える。入居者が交代で店番を務め、地域の子どもたちと交流。(生き活きケア 160)

子どもの行きつけに

高齢者に役割と参加をもってもらうだけでなく、住民と顔の見える関係をつくり、地域の見守り力向上にも寄与している。入居者が調理や配膳など働くレストラン併設の住居もある。

 サ高住「銀木犀」は2011年に千葉県鎌ヶ谷市で初開設。関東圏で拠点を増やし、今年5月の「銀木犀 船橋夏見」(船橋市)が10拠点目となる。全拠点の1階には駄菓子屋を設置。コミュニティスペースや食堂などともつながっており、入居者以外も自由に出入りができる。フロア全体が地域交流拠点として活用されている。

 駄菓子屋を見ると、集まってくるのが子どもたち。「船橋夏見」の大下誠人所長は「友達の家に遊びに行く感覚で『銀木犀に行こう』となるくらい、地域に溶け込むことが理想」と語る。

 お菓子を買って、そのまま共有スペースで遊ぶ子どもたちも。そこでは既に、サ高住の入居者がくつろいでおり、自然と子どもと高齢者の交流が生まれる。

関係深める「店員」と「客」

 何より特徴的なのが、駄菓子屋の店番を入居者が交代で務めていることだ。商店や銭湯で働いていた人は、計算はお手のもの。不慣れな人も金額順に商品を並べ替えるなど、各自工夫を凝らす。中には、買いに来た子どもたちに「算数の問題」とばかりに会計を任せる人も。店番の入居者と一緒に商品の陳列やポップ作りをしてくれる子どももいるという。

 「入居者と子どもが互いに顔見知りの関係になる機会を増やす。これが結果として、地域の見守りネットワークを強化する原動力になっている」と大下氏は強調。以前、道に迷っている高齢者を子どもが見つけたとき、偶然にも普段から駄菓子屋で挨拶を交わしている人だと、子どもがすぐに気づき、早期帰宅に至った。

 「船橋夏見」も現在は新型コロナの影響で営業を自粛しているが、口コミの効果もあり開設直後から既に、毎日20~30人が訪れる人気スポットとなっている。
交流スペースで入居者とおしゃべりを楽しむ子供たち

交流スペースで入居者とおしゃべりを楽しむ子供たち

レストランで就労

 さらに、船橋夏見は他の銀木犀にはない「入居者が働くレストラン」を併設。要介護1~3の入居者が調理や配膳、接客などに分かれ、地域住民をもてなす。食肉加工・販売等を手がける「恋する豚研究所」(千葉県香取市、飯田大輔社長)が運営。賃金も支払われる。

 営業は11~15時のランチタイム。メニューは「しゃぶしゃぶ定食」と「塩コショウ焼き定食」の2種類のみ。認知機能がやや低下している人でも、周りのスタッフや入居者がサポートしながら働ける環境に配慮している。

 実際に働く入居者からは「普段の活動や地域交流とは違い、より責任感が求められる。ほど良い緊張感がやりがいになっている」と好評だ。
レストランで働く女性入居者たち

レストランで働く女性入居者たち

(シルバー産業新聞2020年8月10日号)

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