生き活きケア
「楽しさは心に留まる」五感に訴えるケア/サ高住 のんびり村花岡(下松市)
「のんびり村花岡」(山口県下松市)を訪問した。オーストラリアで広く普及するダイバージョナルセラピー(DT)を実践する介護施設。50室のサービス付き高齢者向け施設で、特定施設入居者生活介護の指定を受けている。(生き活きケア 147)
朝の太陽をあび 空気に触れる
福祉用具レンタル事業を展開するホームケアサービス山口(山口県下関市、末島賢治社長)が2012年11月に開設した。7年目になり毎月満床状態で、待機者もある。
「散歩」が最初の話題になった。
「散歩に出ると、朝の太陽をあび、外の空気に触れる。自然と会話が出てくる」と、小枝公美子施設長。昼夜逆転の改善に散歩は効果的だと言う。ただ、多忙な介護職員にとって、ケア計画に散歩を組み入れることは、常に簡単なことではない。50人の利用者を日中8、9人の介護看護体制でみる。散歩は、その分、仕事が滞るリスクが生まれ、「職員の不満の種になることもある」らしい。
なぜ散歩するのがよいのか。小枝施設長は、スリープ・マネジメントの観点などから散歩の効果を話すが、一番職員が理解するのは、自室、施設から外に出て散歩することによって、利用者がいきいきとしているのを見て、職員が散歩の効果を実感することだと言う。
「散歩」が最初の話題になった。
「散歩に出ると、朝の太陽をあび、外の空気に触れる。自然と会話が出てくる」と、小枝公美子施設長。昼夜逆転の改善に散歩は効果的だと言う。ただ、多忙な介護職員にとって、ケア計画に散歩を組み入れることは、常に簡単なことではない。50人の利用者を日中8、9人の介護看護体制でみる。散歩は、その分、仕事が滞るリスクが生まれ、「職員の不満の種になることもある」らしい。
なぜ散歩するのがよいのか。小枝施設長は、スリープ・マネジメントの観点などから散歩の効果を話すが、一番職員が理解するのは、自室、施設から外に出て散歩することによって、利用者がいきいきとしているのを見て、職員が散歩の効果を実感することだと言う。
のんびり村花岡では、毎月季節に合わせて外出をしている。取材の日も朝の10時からマイクロバスに乗って、隣町までアジサイ見物に出かけた。各部屋から歩いて、杖をついて、歩行器を押して、車いすに乗ってエレベータで1階に降り、玄関前で待つマイクロバスに乗り込む。ちょっとおしゃれして、どこかうれしそうな雰囲気だ。訪問先ではおいしいお菓子が待っているらしい。時には、広島の宮島などへ遠出することもある。夏場には、海辺に出て、足を海水につけるのも喜ばれる。
「楽しさは心に留まる」 五感に訴えるケア
「どこに行ったか、記憶には残らなくても、楽しい、と思えた時間は心に留まる」と介護事業部長の津森陽子さんも話す。朝の散歩、昼寝、夕方の体操と、一日の生活にリズムがついてくると、朝起きて夜寝るという人本来のリズムも取り戻すようになる。仕事の洗い出しをして、ムリなどがないか検討するなど、職員の働き方改革を推し進める津森さんは、生活のリズムが取れるケアが、宿直の負担を減らすことにもつながっていると説明する。
日本でのDTの推進者である芹澤隆子さんが2カ月ごとに施設を訪問して職員向けに研修を行っている。毎月発行するA4版のお便りには、DTの標語「老いることは楽しむこと」を掲げて、その月の入居者数と1カ月のイベントなどを写真と短文で紹介する。利用者と家族を結ぶ大切な取組だ。
日本でのDTの推進者である芹澤隆子さんが2カ月ごとに施設を訪問して職員向けに研修を行っている。毎月発行するA4版のお便りには、DTの標語「老いることは楽しむこと」を掲げて、その月の入居者数と1カ月のイベントなどを写真と短文で紹介する。利用者と家族を結ぶ大切な取組だ。
テラスで喫茶の時間
話は、玄関先のテラスで行われている「喫茶の時間」になった。毎日ではないが、10時や3時に、テーブルといすを並べて、ちょっと上等なコーヒーを出す。開設1年後からはじめ、6年になる。ここでは、職員がにわかウエイトレス。目や耳や肌で季節を感じながら、ゆっくりとした時間を過ごす。家族が客になると、本人や職員を囲んで会話が弾む。家にあったコーヒーカップなども持ち寄る。施設長の名前をとって、「カフェ公美子」と愛称で呼ばれることもあるそうだ。
7月には夏祭り。バーベキューだ。やわらかい牛肉を食べる。お代わりもする。日頃は見られない利用者の姿を行事で発見する。震える手でこぼさないようにビールを口に運ぶ。「人生の最晩年、この施設で過ごして良かったと感じてもらいたい、私たちは大切な仕事をしている」と、二人は口を揃えた。
「その人を知って、一人ひとりに合った介護をめざす」同施設。介護記録のデジタル化や介護リフトの導入など、待ったなしの介護事業テーマにも取り組んでいる。
7月には夏祭り。バーベキューだ。やわらかい牛肉を食べる。お代わりもする。日頃は見られない利用者の姿を行事で発見する。震える手でこぼさないようにビールを口に運ぶ。「人生の最晩年、この施設で過ごして良かったと感じてもらいたい、私たちは大切な仕事をしている」と、二人は口を揃えた。
「その人を知って、一人ひとりに合った介護をめざす」同施設。介護記録のデジタル化や介護リフトの導入など、待ったなしの介護事業テーマにも取り組んでいる。
(シルバー産業新聞2019年7月10日号)