在宅栄養ケアのすすめ

褥瘡、まずは低栄養を疑う/中村育子(連載73)

 診療報酬では、褥瘡のレベルが一定以上の在宅患者へ多職種が介入し計画作成・管理を行った場合に「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」(750点)を算定することができます。要件には「医療機関の医師、看護師、管理栄養士が共同して…」と職種が明記されており、これは褥瘡管理に管理栄養士(栄養ケア)が欠かせないことを示しています。

 同加算では、初回アセスメントに関係職種が一堂に訪問することが求められているのが特徴です。当クリニックのように在宅部門があると良いのですが、なかなか管理栄養士を外へ出せる医療機関は多くありません。

 現在、4月の報酬改定に向けた案として「外部の管理栄養士でも算定を可能とする」等の緩和策も出ています。これをきっかけに算定が伸び、地域で活躍する管理栄養士が増えることを期待したいと思います。

除圧・清潔・栄養の三本柱

 そもそも褥瘡は、長時間での同一姿勢に伴う圧迫からの血流障害に起因するものです。ただし、そのリスクを高める状態として、「低栄養」「やせ」による皮下脂肪組織の減少があります。

 体位変換やスキンケアを徹底しても十分な治療効果が得られない場合は、栄養管理が抜け落ちている可能性を検討しなければなりません。

 私が実際に在宅患者訪問褥瘡管理指導料で関わった患者は、80代後半の男性で奥さんが主介護者です。食欲に波があり、少ないときは1日の摂取エネルギー量が800~1000㎉程度でした。同年代の必要エネルギー量の目安は1400~2200㎉ですが、褥瘡の治療の場合はこの1.5倍が必要とされています。もともとの摂取量が少ないので、これは結構高いハードルです。

 エネルギー対策としてハイカロリータイプの経腸栄養剤を使いつつ、介護者は調理ができる奥さんでしたので、油の使い方を中心に食事指導を行いました。例えば味噌汁に少しバターを溶かし入れると、これが好みにマッチ。本人の嗜好性も聞き取った上で、牛乳やヨーグルトなどの乳製品も多用しました。

皮膚修復にたんぱく・微量元素

 皮膚の材料となるたんぱく質も、褥瘡の治療に大切な栄養素です。今回のケースでは、本人が好きな豆腐を中心にメニューを組み立てました。

 加えて、皮膚の修復にはビタミン、また亜鉛や鉄、銅といった「微量元素」も十分摂取しなければなりません。微量元素とは体重1㎏あたり1㎎以下、または体内の貯蔵量が鉄よりも少ない金属で、鉄・亜鉛・銅などが代表例です。

 特に、亜鉛はたんぱく質の代謝を助け、傷の治癒を促進する作用があります。牡蠣やレバーに多く含まれていますが、肉や魚を普段から食べていれば不足することはありません。

 摂食・嚥下機能が低下し、肉や魚が食べにくくなった人の場合は、ペースト食や栄養補助飲料等が有効です。近年は、エネルギーやたんぱく質の補給をメインとしつつ、微量元素も備えた介護食品が多く市場に出ています。

 例えば「ブイ・クレスCP10」(ニュートリー)のゼリータイプは、1個80gあたりエネルギー110㎉、たんぱく質12gが摂取できる高栄養食品ですが、12種類のビタミンと鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれます。たんぱく源として消化吸収されやすいコラーゲンペプチドも1万㎎配合しています。

 こうした栄養素は商品パッケージの成分表に書かれていますので、購入を検討する際は一度よく見てみてはいかがでしょうか。
微量元素にも配慮した 「ブイ・クレスCP10」

微量元素にも配慮した 「ブイ・クレスCP10」

 中村育子(福岡クリニック)

(シルバー産業新聞2020年2月10日号)

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