在宅栄養ケアのすすめ

褥瘡予防は栄養マネと並行で/中村育子(連載89)

褥瘡予防は栄養マネと並行で/中村育子(連載89)

 褥瘡マネジメント加算は今回の改定で要件などが見直されました。一つは、褥瘡リスクがある人への個別ケアの結果、褥瘡が発生していないことを評価する上位区分の新設です。そしてもう一つ注目したいのが、個別ケアの計画・実施等に関わる職種に「管理栄養士」が明記されたことです。

 褥瘡予防に栄養ケアが不可欠であることは、これまで本連載でも幾度か説明してきました。ただ、多職種がいる介護施設で、管理栄養士は「自ら発信しなければスルーされやすい職種」の一つです。利用者を観察すれば栄養状態が良くないことは、他職種でも「なんとなく」気づいています。そこへ参画し、具体的な栄養・食事内容を立てられるのは菅理栄養士しかいません。その役割を明確に位置づけた点において、意味のある改定だと私は思います。

 特に、褥瘡のリスクが高い人は寝たきりや車いす生活の中重度者が想定されます。こうした人たちは往々にして摂食・嚥下機能に問題を抱えています。つまり、褥瘡予防における栄養改善は結局のところ、「なぜ食べられないか」のアセスメントに行き着くことになります。

書式を埋めるだ けでは不十分

 褥瘡マネジメント加算の算定については、厚生労働省が示した様式例「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」を用いてリスク評価やケア計画を行うことになります。同計画書は主に①危険因子の評価②褥瘡の状態評価③褥瘡ケア計画――の3つに分かれていますが、栄養に関しては③で「栄養状態改善」として1行程度の記述欄を設けているだけです()。
 おそらく計画書上では多職種との共有程度に、必要エネルギー量、たんぱく質量の記載くらいにとどまるでしょう。管理栄養士はその背景にある口腔・栄養状態を把握した上で、必要栄養量を確保する方法を実行しなければなりません。計画書の作成だけで褥瘡予防が達成できると思わないことです。

 今回の改定では、施設サービスの「栄養マネジメント加算」が廃止され、運営基準化されました(3年間の経過措置)。入所者個々の状態に応じた栄養管理が必須となり、今まで以上に栄養に関する情報は蓄積しやすくなるでしょう。

 また、この一助となるのがLIFEです。LIFEの利用者状態で口腔・栄養に関する項目は栄養マネジメント加算の評価項目と同等になっています。低栄養リスクの発見に有効な体重、食事摂取量、むせの有無などはここで管理ができます。幸い、褥瘡マネジメント加算も先述の計画書をLIFEへデータ提出することが要件です。これらを常にリンクさせることが、より褥瘡予防のアウトカムに近づくことになるでしょう。
(シルバー産業新聞2021年6月10日号)

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