在宅栄養ケアのすすめ

多様化する 管理栄養士の役割/中村育子(連載85)

多様化する 管理栄養士の役割/中村育子(連載85)

 4月からの介護報酬単価が発表されました。居宅療養管理指導は外部の管理栄養士でも提供が可能になりましたが、最大のポイントは外部連携先として医療機関や栄養ケア・ステーションに加え、介護施設が含まれているということです。

 管理栄養士の居宅療養管理指導は医療機関からの提供が原則です。昔、介護施設からの提供を認めてもらうよう厚労省へ陳情に行ったこともありました。ようやく一つの形になったという印象です。

 栄養ケア・ステーション約200カ所に対し、特養・老健は合わせて1.2万カ所です。日本栄養士会・在宅栄養管理学会が認定する「在宅訪問管理栄養士」の多くは介護施設に所属しており「在宅に行きたくても、制度上なかなか行けない」という声をよく聞いていました。ここが動けば、在宅の栄養ケアの広がりが期待できます。

 外部連携の流れとしては、例えば老健の退所後、在宅支援の一環として老健の管理栄養士が在宅(居宅療養管理指導)もしくは通所サービス(栄養改善加算)へ介入するのが一つの分かりやすい形ではないでしょうか。利用者も顔なじみの管理栄養士なので、在宅訪問への抵抗感も薄いかと思います。

 ただし、外部連携で管理栄養士が動くには、生活全体を捉える「在宅の視点」と、顔が見えにくい環境下での「多職種連携」のスキルが欠かせません。ぜひこの機会に、施設の管理栄養士にもどんどん在宅を経験してもらいたいです。

施設ケアの底上げにも

 外部連携先の介護施設に対しては「常勤で1以上、または栄養マネジメント強化加算の算定要件の数を超えて管理栄養士を配置」との条件付きです。人員基準より手厚い管理栄養士の配置を求めているわけで、これは当然だと言えます。

 今回の改定で施設サービスは運営基準上に栄養マネジメントが位置づけられました。「集団」から「個」の支援を強化していく考えです。施設の管理栄養士はこれを行いながら、ミールラウンドや入退所時連携に応じなければなりません。その上訪問するとなると、利用者100人に1人体制では到底身が持ちません。

 つまり、今回の栄養関連施策は、外部連携だけでなく、施設内の栄養マネジメント充実のために管理栄養士を確保し、その人件費を加算取得で捻出する環境を作ろうとしているわけです。厚労省のデータでは、管理栄養士が複数体制の施設ほど入院リスクが低く、在宅復帰率が高いとの実態調査が示されています(グラフ)。
(シルバー産業新聞2021年2月10日号)

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