千田透の時代を読む視点

新型コロナ、 第2波に備えよ/千田透(連載81)

新型コロナ、 第2波に備えよ/千田透(連載81)

 3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、医療や介護、福祉の現場も大変な混乱に見舞われた。感染リスクにさらされながらも、強い使命感を持って、利用者の健康や生活を維持するため、業務に従事された皆様に、まずはこの場を借りて感謝と敬意をお伝えしたい。

 ただ、感染拡大の第1波が過ぎ去り、現場としては一息つきたいところだが、緊急事態宣言解除後も感染者の数は高止まりしている。世界的に見ても、感染拡大は続いており、第2波が必ず来るという前提の下、これからに備えていく必要がある。

 特に、第2波が来た時に避けなければならないのが、第1波の時のような、マスクなどの物資が足りない状況で、現場が不安を抱えながらサービス提供しなければならない状況だ。

 現在では2次補正予算も成立し、緊急包括支援事業の中で、マスクやフェイスシールドなどを購入するための費用や感染予防のための研修にかかる費用などが助成される仕組みができている。こうした支援を上手く使って、感染リスクを限りなく引き下げ、現場職員・利用者・家族が、可能な限り安心・安全にサービスが受けられるようにするのが、ウィズコロナ時代の介護サービスの基本となる。

 例えば、マスクなどは医療現場で用いられている、良質な物を備蓄していくことや、手袋の使い方一つとっても、きっちりとした感染対策が実施できるように職員研修を行っていく必要があるだろう。そして、併せて大事なのが、利用者や家族に対する啓発である。

 利用者の中には、感染を恐れるあまり、本来、必要となる介護や福祉、医療サービスの利用を控える人達がいる。その結果として、重度化が進んだり、命の危険につながったりする状況が生まれているのであれば、本末転倒と言えるだろう。利用者にも感染予防を徹底してもらった上で、安心して必要なサービスを受けてもらえるように、官民一体となって取り組んでいく必要がある。

 さらに、ウィズコロナ時代で大事なのが、ICT機器などを積極的に取り入れ、「対面で行うことを極力減らしていく」という視点だ。第1波の到来によって、他産業では在宅勤務やWEB会議などがすでに一般化している。人との対面が前提となる医療や介護の場合は、そのまま導入するわけにはいかないが、健康状態の確認や安否の確認、カンファレンス、モニタリングなど、ICT機器を上手く活用することで、リモートを取り入れられる部分がある。個人的には、感染予防の観点から、ウェアラブル機器を用いた健康状態の確認などは、在宅介護の現場で積極的に活用されていくべきだと思っている。

 現在は診療報酬や介護報酬で感染拡大を避けるための特例措置が設けられているが、第2波、第3波の到来も予想される中、こうした特例措置を「特例」ではなく、ウィズコロナの時代に合わせた制度に見直していくことも必要になるだろう。

 千田透(全国生活協同組合連合会 常務理事)

(シルバー産業新聞2020年7月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル