介護報酬単価

2021年度介護報酬改定の概要(通所リハ)

2021年度介護報酬改定の概要(通所リハ)

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が12月23日にとりまとめた「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」より、各サービスの改定ポイントをまとめた。「審議報告」は次期改定の骨子にあたる。これに基づき、厚労省がより具体的な制度設計に着手する。新報酬などは、同省より1月~2月に公表される予定だ(1月18日に公表されました。下の赤い記事リンク「【速報】21年度介護報酬単価はこちら」より、記事がご覧いただけます)

6月超の基本報酬減算廃止

 生活行為向上リハビリテーション実施加算は、加齢や廃用症候群等で活動の機能が低下した利用者に対し、6カ月以内に他の介護サービスや地域の活動・参加等への移行を見据えたリハビリを評価するもの。しかし算定率は1%以下と極めて低調で、利用者の負担増や、「6カ月でリハビリ終了」への理解が進んでいない。適時適切なリハビリを一層促進する観点から要件を見直し、算定の拡大をはかる。
 
 実施開始3月以内(月2000単位)と3月超6月以内(月1000単位)で段階的となっている報酬を統一。2000単位未満で設定する。あわせて、算定開始から6カ月以降にリハビリを継続する場合の基本報酬減算(15%)は廃止する。

 また、活動と参加の取組を促進する観点から、生活行為向上の内容や、対象となる利用者要件を明確化する。

入浴介助加算に個別計画作成の上位区分

 利用者が自宅で自身または家族等の介助で入浴できるよう、計画に基づき個別の入浴介助を評価する新たな区分を設ける。
 
 通所介護でも同様の見直しを行うが、通所リハビリでは入浴開始前、実施中の留意事項について、医師の具体的な指示に基づく緊密な対応が可能であることから、通所介護と評価に差を設ける方針。また、現行の入浴介助加算は多くの事業所で算定されている実態(2019年10月時点で75%)を踏まえ、単位数を引下げる。

災害への地域と連携した対応の強化

 災害への対応は、地域との連携が不可欠であることを踏まえ、非常災害対策(計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等)が求められる介護サービス事業者を対象に、小規模多機能等の例を参考に、訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととする。

事業所規模別の報酬等に関する対応(予防は除く)

 通所介護等の報酬について、感染症や災害の影響により利用者が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、以下の見直しを行う。
 
 ①事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、より小さい規模区分がある大規模型について、前年度の平均延べ利用者数ではなく、感染症や災害の影響により、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができる。
 
 ②感染症や災害の影響により、延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者一人あたりの経費の増加に対応するための評価を行う(区分支給限度基準額の算定に含めない)。
 
 現下の新型コロナ感染症の影響による一定割合以上の利用者減に対する適用にあたっては、年度当初から即時的に対応を行う。

リハマネ加算簡素化

 リハビリテーションマネジメント加算Ⅰと予防サービスの同加算を廃止し、基本報酬に組み込む。リハビリ計画の定期的な進捗評価、他事業所への日常生活上の留意点の伝達などの算定要件は基本サービスの要件とする。
 
 さらに、VISIT等を活用したデータ提出を要件とする加算Ⅳも、2021年度からのCHASE・VISITの一体的な運用に伴い廃止。残った加算Ⅱ・Ⅲは報酬を引上げると共に、CHASE・VISITへのデータ提出について「必須項目」と「任意項目」を定める。フィードバックをもとにしたPDCAサイクルの推進を評価する。

 また、算定要件の一つ「定期的な会議の開催」は利用者の了解を得た上で、テレビ会議など非対面による開催も認める。

社会参加支援の移行要件を緩和(予防は除く)

 リハビリ終了後も継続的な活動・参加につなげる社会参加支援加算は、名称を「移行支援加算」に変更する。
 
 要件の一つ「リハビリ終了者のうち、通所介護等の介護サービスやその他社会参加に資する取組みを実施した人の割合が5%超」に関しては、要介護度が高い人ほど移行が難しい実態なども踏まえ緩和する方向。
 
 また、リハビリ終了後も社会参加への移行状況の確認を求めるが、その確認方法については現行の「終了後14~44日の間に居宅訪問等により、移行先のサービスが3月以上継続する見込みを確認」から「終了1月後の移行状況を電話等で確認」でよいとする。あわせて、リハビリ計画書を移行先の事業所に提供することを必須とする。

個別能訓練計画書と書式統一

 リハビリ計画書と個別機能訓練計画書とでは▽基本動作▽ADL/IADL▽社会参加の状況▽リハビリの目標――といった共通項目が多く、業務効率化の観点から、様式を統一する。リハビリ計画書の固有項目である▽将来の見込み▽サービス提供中の具体的対応▽社会参加支援評価項目――などは整理・簡素化を行う。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的な推進

 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、以下の見直しを行う。
 
 ①リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。
 
 ②リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリ計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

サービス提供体制強化加算の見直し

 ①より介護福祉士の割合が高い、または勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。

 ②勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新区分を設定する。

通所系サービス等における口腔機能向上の取組の充実

 介護職員が実施可能な口腔スクリーニングの実施を評価する新たな加算を創設する。その際、栄養スクリーニング加算による取組・評価と一体的に行うものとする。また、通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリを対象とする口腔機能向上加算について、看護小規模多機能を新たに対象とするとともに、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する新たな区分を設ける。

通所系サービス等における栄養ケア・マネジメントの充実

 ①管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取組を評価する加算を創設する。その際、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なる PDCA サイクルの推進・ケアの向上を図ることを要件の一つとする。

 ②栄養改善加算について、事業所の管理栄養士が必要に応じて居宅を訪問しての栄養改善サービスの取組を行うことを求めるとともに、評価の充実を図る。
 
 ③①②における管理栄養士は、外部(他の介護事業所、医療機関、介護保険施設、栄養ケア・ステーション)との連携による配置を可能とする。

同一建物減算適用時等の区分支給限度基準額の計算方法の適正化

 同一建物等居住者に係る減算等の適用を受ける者の区分支給限度基準額の管理において、減算等の適用前の単位数を用いることとする。また通常規模型のサービスを利用する者と大規模型のサービスを利用する者との公平性の観点から、大規模型の報酬が適用される事業所を利用する者の区分支給限度基準額の管理において、通常規模型の単位数を用いることとする。

サ高住での適正なサービス提供の確保

 事業所と同一の建物に居住する利用者へサービス提供する場合は、その建物に住む利用者以外にも、サービスを行うよう努めることとする。
 
 また、指定権者が事業所を指定する際、例えば、その事業所の利用者のうち、一定割合以上を事業所併設の集合住宅以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない等の条件を設けてもよいこととする。

(関連)病院間の移送も乗降介助算定可

 訪問介護の乗降介助について、「自宅から内科へ向かい、続いて整形外科を受診する」など、利用者の居宅が始点か終点のいずれかである場合、同一訪問介護事業所による目的地間の移送に対し、通院等乗降介助を算定できるようにする。目的地に通所系サービスがある場合は、同サービスの送迎減算が適用される。短期入所系サービスがある場合は、同サービスの送迎加算は算定できない。

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