介護報酬単価

2021年度介護報酬改定の概要(特定施設入居者生活介護)※地域密着型を含む

2021年度介護報酬改定の概要(特定施設入居者生活介護)※地域密着型を含む

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が12月23日にとりまとめた「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」より、各サービスの改定ポイントをまとめた。「審議報告」は次期改定の骨子にあたる。これに基づき、厚労省がより具体的な制度設計に着手する。新報酬などは、同省より1月~2月に公表される予定だ(1月18日に公表されました。下の赤い記事リンク「【速報】21年度介護報酬単価はこちら」より、記事がご覧いただけます)

看取り介護加算の見直し(予防は除く)

 ①看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。
 ②要件における看取りに関する協議等の参加者として、生活相談員を明記する。
 ③現行の死亡日以前30日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける。
 ④看取り期において夜勤または宿直により看護職員を配置している場合に評価する新たな区分を設ける。

個別機能訓練加算の見直し

 CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCA サイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する新たな区分を設ける。

入居継続支援加算の下位区分新設(予防は除く)

 「たんの吸引等を必要とする者の割合が利用者の15%以上」の場合の評価に加えて、「5%以上15%未満」の場合に評価する新たな区分を設ける。

災害への地域と連携した対応の強化

 災害への対応は、地域との連携が不可欠であることを踏まえ、非常災害対策(計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等)が求められる介護サービス事業者を対象に、小規模多機能等の例を参考に、訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととする。

認知症専門ケア加算等の見直し

 算定要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修<同加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、同加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修>を修了した者の配置について認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、eラーニングの活用など受講しやすい環境整備を行う。

看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実(予防は除く)

 看取り期の本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、基本報酬や看取り関係の加算の算定要件に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。

口腔機能向上の取組の充実

 介護職員が実施可能な口腔スクリーニングの実施を評価する新たな加算を創設する。その際、栄養スクリーニング加算による取組・評価と一体的に行うものとする。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的な推進

 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、以下の見直しを行う。
 
 ①リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。
 
 ②リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリ計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

サービス提供体制強化加算の見直し

 ①より介護福祉士の割合が高い、または勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。その際、 施設系サービス、介護付きホームについては、サービスの質の向上につながる取組の一つ以上の実施を求める。

 ②勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新区分を設定する。

生活機能向上連携加算の見直し

 ①訪問介護等における同加算と同様に、ICTの活用等により、外部のリハ専門職等が当該サービス事業所を訪問せずに、利用者の状態を把握し助言した場合に評価する区分を新たに設ける。

 ②外部リハ専門職等の連携先を見つけやすくするため、算定要件上連携先となり得る訪問・通所リハ事業所が任意で情報を公表するなどの取組を進める。

ADL維持等加算の新設(予防は除く)

 通所介護に加えて、機能訓練等に従事する者を十分に配置し、ADLの維持等を目的とする認知症対応型通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を同加算の対象とする。また、下記の要件緩和を行う。

 ①クリームスキミングを防止する観点や、現状の同加算の取得状況や課題を踏まえ、算定要件について、以下の見直しを行う。
 ▽初月と6月目のADL値の報告について、評価可能な者は原則全員報告を求める。
 ▽リハビリサービスを併用している者について、同加算取得事業者がリハビリサービス事業者と連携して機能訓練を実施している場合に限り、同加算に係る計算式の対象とする。
 ▽利用者の総数や要介護度、要介護等認定月に係る要件を緩和する。
 ▽ADL利得が上位85%の者について、各々のADL利得を合計したものが0以上とする要件について、初月のADL値に応じて調整式で得られた利用者の調整済ADL利得が一定の値以上とする。
 ▽CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを求める。
 
 ②自立支援等により効果的な取組を行い、利用者のADLを良好に維持・改善する事業者を高く評価する新たな区分を設ける。

テクノロジーの活用による入居継続支援加算の要件緩和

 介護事業者によるテクノロジーの活用によるサービスの質の向上、業務効率化及び職員の負担軽減の取組を評価する観点から、以下の見直しを行う。

 (1)テクノロジーを活用した複数の機器(見守りセンサー、インカム、記録ソフト等のICT、移乗支援機器)を活用し、利用者に対するケアのアセスメント評価や人員体制の見直しを PDCAサイクルによって継続して行っている場合については、入居継続支援加算の「介護福祉士数が常勤換算で入所者数が6又はその端数を増すごとに1以上」とする要件を、「7又はその端数を増すごとに1以上」とする。

 要件緩和の申請にあたっては、①利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担を軽減するための委員会の設置②職員に対する十分な休憩時間の確保等の勤務・雇用条件への配慮③機器の不具合の定期チェックの実施(メーカーとの連携を含む)④職員に対するテクノロジー活用に関する教育の実施――を具体的要件とし、テクノロジー導入後これらを少なくとも3カ月以上試行し、現場職員の意見が適切に反映できるよう、実際にケア等を行う多職種の職員が参画する①の委員会において安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上で届け出るものとする。

 (2)サービス提供体制強化加算について、新たに設ける区分の算定に当たり、一つ以上の実施を求めるサービスの質の向上につながる取組の事項の一つにテクノロジーの活用を盛り込む。

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