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経産省 保険外のビジネスモデル確立へ 検討会初会合

経産省 保険外のビジネスモデル確立へ 検討会初会合

 経済産業省は1月31日に「高齢者・介護関連サービス振興に関する戦略検討会」を初会合した。在宅高齢者向けの介護保険外サービス振興へ、対象サービスの特定や、地域特性を踏まえたビジネスモデルの検討を行う。座長は慶應義塾大学の駒村康平教授が務める。

 同省は2023年に、仕事をしながら家族等の介護に従事する「ビジネスケアラー」が2030年時点で318万人、経済損失は年間約9兆1792億円にのぼると推計。これに対する施策として①介護需要の多様な受け皿整備②企業における仕事と介護の両立支援の充実③介護に関する社会気運醸成――を掲げている。昨年は②に関して「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を策定・公表した。同検討会では①介護需要の受け皿整備について議論する。

 この日、会の冒頭で同省ヘルスケア産業課の橋本泰輔課長(写真)は「生産年齢人口が減少し、働く家族介護者の割合が増加している。高齢者が地域で自立した暮らしを送るには、多様な主体が参画していく必要がある」と説明。「ただ、その主たる提供者、民間企業からすると保険サービスとの競合や高齢者、専門職へのアクセスの困難さなどから、収益化に至るケースが限られている。地域ごとにビジネスモデルを創出することが本検討会の役割になる」と述べた。
 論点は▽地域分類のあり方▽産業振興の対象サービス▽複数地域への展開可能性がある事例・特徴▽地域共通・固有に抱える産業振興上の課題▽地域特性を考慮したビジネスモデル・課題の整理▽産業振興施策の方向性――。対象サービス領域については想定される事業を類型化。高齢者向けの自費サービスでは宅食や自費訪問介護、見守りサービス、高齢者向け賃貸など、また高齢者を含む一般層向けの自費サービスではフィットネスジム、理美容、移動販売などを例示した(表)。

 あわせて、同省が今年度行っている実証事業も紹介。東京都武蔵野市は、施設紹介事業を運営するあいらいふ(東京都新宿区、藤田敦史社長)を通じて、市内の保険外サービスや通いの場、ボランティア活動の情報を地域の高齢者へ提供した。行政では困難な、特定の保険外サービスの推奨がしやすく、あいらいふはすぐに施設入居が必要ではない自立の高齢者へ情報提供することで、今後の顧客基盤拡大が期待できるとした。

 委員からは、自治体とサービス提供者をつなぐ支援策が必須との意見、高齢者によって多様な家族構成、生活状況に対し、どこまで細やかに議論すべきかといった課題などがあげられた。

 3回の検討会開催を経て、年度内にとりまとめを公表。次年度以降の政策検討に反映させる。必要に応じて実証事業なども検討。橋本課長は「サービス振興にあたり、補助金や税制優遇は想定していない」と説明した。

(シルバー産業新聞2025年3月10日号)

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