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「ケアマネジメントの標準化」 実証事業で手応え

「ケアマネジメントの標準化」 実証事業で手応え

 ケアマネジャーの資質の向上を図る観点から、現在、国でケアマネジメントの標準化に向けた取組みが進められている。事業名は「適切なケアマネジメント手法の策定に向けた調査研究事業」。16年度に成果物として脳血管疾患と大腿骨頚部骨折の2つの疾患に絞り、100項目近い支援内容を整理した標準化ツールを作成。17年度は、その成果物の実践現場の活用効果を検証した。

 実証事業に参加したケアマネジャーは、全国で824人。各人が「脳血管疾患」または「大腿骨頚部骨折」の事例を持参し、標準化ツールを活用して、ケアマネジメントプロセスを振り返った。

 その結果、標準化ツールの有用性については、「とても参考になる」(24.8%)、「参考になる」(69.5%)が合わせて84.3%と、多くのケアマネジャーが肯定的に捉えていることが分かった。「あまり参考にならない」(3.8%)、「参考にならない」(0.1%)との回答は4%以下だった。

 標準化ツールの評価についても、「とても使いやすい」(14.1%)、「使いやすい」(63.3%)が合わせて77.4%だったのに対し、「使いにくい」と答えたケアマネジャーは21.4%という結果だった。

 これらを受け、報告書では「当初期待したとおり、実務やOJTにおいて検討案が活用しうるものであることが確認できた」と成果を報告。

 ケアマネジャーが実際に活用する方法としては、▽アセスメントあるいはケアプラン原案の作成段階で、標準化ツールを参考に支援内容の必要性を検討▽経験豊富な場合は、毎回参照する必要はなく、数カ月に1回程度、自らのケアマネジメント実践を振り返る期間に参照するような活用方法が考えられる▽初任者は、事例を担当する都度に、標準化ツールをチェックリストのような形で活用して、情報の収集・分析、検討視点に抜け漏れがないようにする方法も有効――などとまとめた。

 今後、多くのケアマネジャーが活用できるように普及していくためには、「分かりやすいツールやその展開方法を検討する必要がある」とし、具体的には、簡易テキストやアセスメント結果を入力することでチェックすべき点をハイライトする簡易アプリケーションの開発などを挙げるとともに、展開方法として、法定研修の中で副教材として活用したり、事業所内や地域の事例検討会などで取り上げたりすることが考えられるとしている。

 標準化ツールの検討案は、日本総合研究所のホームページでダウンロードできる。

(シルバー産業新聞2018年6月10日号)

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