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ケアマネアンケート AI「自分たちの仕事を助ける」83%

ケアマネアンケート AI「自分たちの仕事を助ける」83%

 ケアマネジメントにAI(人工知能)を活用する取組みが話題になる中、現場で働くケアマネジャーはAIをどのように捉えているのか――。本紙がアンケートを実施したところ、83%ものケアマネジャーがAIを「自分たちの仕事を手助けしてくれるもの」と好意的に受けて止めていることが分かった。「自分たちの仕事にとって代わるもの」と答えたケアマネジャーは10%だった。

 ケアマネジメントにAI(人工知能)を活用する取組みが話題になる中、現場で働くケアマネジャーはAIをどのように捉えているのか――。本紙がアンケートを実施したところ、83%ものケアマネジャーがAIを「自分たちの仕事を手助けしてくれるもの」と好意的に受けて止めていることが分かった。「自分たちの仕事にとって代わるもの」と答えたケアマネジャーは10%だった。

 6月15日に閣議決定された政府の「骨太の方針2018」では、「自立支援・重度化防止等に資するAIも活用した科学的なケアプランの実用化に向けた取組を推進する」との方針が明記されるなど、現在、国をあげてケアマネジメントにAIを活用する取組を推し進めている。

 民間レベルでは、すでにセントケア・ホールディングやツクイなどが出資するシーディーアイが、AIを使ったケアプランの作成について、昨年から愛知県豊橋市と実証プロジェクトを行うなど、実用化に向けた取組が進められている。

 こうした中、本紙では「ケアマネジメントでのAI活用」をテーマに、現場で働くケアマネジャーにアンケートを実施。ケアマネジメントにAIを活用する取組について興味や関心があるかどうかを尋ねた問いでは、実に93%ものケアマネジャーが「興味や関心がある」と答える結果になった。

業務の効率化や負担軽減を期待

 英国オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らによる研究では、今後、10年~20年の間に、人間が行う仕事の約半分がAIにとって代わられると予測しているが、今回のアンケートでは、83%のケアマネジャーが「AIは自分たちの仕事を手助けしてくれるもの」と好意的に捉えていることが分かった。

 自由記述で目立ったのは、人間とAIが役割分担し、共存していく未来を思い描いている意見だ。「ケアマネジメントにAIを活用していくことは、時間の問題だと思う。多くの情報処理や正確な作業、計算などはAIに任せ、利用者への臨機応変な対応はケアマネがしていく形で共存していきたい」(群馬県、女性)、「AIの活用により、業務負担の軽減ができればありがたいが、一方で利用者とのコミュニケーションの部分で不安な要素もある。AIとケアマネが共存していけることが理想」(茨城県、性別不明)などの意見があった。

 AIを好意的に捉える意見で特に多かったのは、業務の効率化や負担軽減を期待する意見だ。「書類作成業務などが多く、利用者へのアセスメント時間が削られている感覚がある。AIを使うことで、しっかりとアセスメントの時間がとれることが大切だと考えている」(大阪府、女性)、「仕事の効率化が図られ、事務作業の負担が少なくなれば良いと思う。ケアマネジメントを行うにあたり、書類作成量が多く、追いつかない場面がある」(富山県、女性)などの意見が寄せられた。 多くのケアマネジャーがケアマネジメントでのAIの活用を好意的に捉えている一方で、「自分たちの仕事にとって代わるもの」と答えたケアマネジャーも10%いた。

 自由記述では、「例えば脳血管疾患の場合を想定した標準的なケアプランを今後はAIが作成することになるのでは。おそらく人間によるケアプランと作成するためのケアマネジメントは、将来必要がなくなると思う。それが政府の見解であれば仕方ないと感じている」(広島県、女性)、「AIは仕事を手助けしてくれると同時に、ケアマネジャーの仕事にとって代わる可能性がある。基本的にはその方向に向かうと思う」(茨城県、男性)などの意見が寄せられた。

 その一方で、「過度なデータの入力、詳細の打ち込みによってAIケアプランが作成されるのであれば、ますます手間がかかるとも言える」(富山県、女性)、「AIの活用によって、ケアマネ自体の仕事ではない仕事が増えてしまわないか不安がある」(群馬県、女性)など、AIの導入によって、新たな負担が増えることを懸念する意見もあった。

 このほか、「AIを活用することで人間としての能力が低下し、考える力、判断力等が衰える。本来の人間らしさが堕落していく」(富山県、女性)など、文明の利器に頼りすぎることに警鐘を鳴らす意見や、「AIはケアマネジャーの必要性、専門職としての今後のあり方、最後にはケアプランの存在意義まで考えなければいけない取り組みと受け止めている」など、専門職としての存在意義を考えるきっかけとして受け止めたいとする意見も寄せられた。

(シルバー産業新聞2018年10月10日号)

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