連載《プリズム》

経営状況の「見える化」

経営状況の「見える化」

 24年改正で、介護事業所に事業所の財務諸表を都道府県に提出することが義務づけられる。厚労省はデータベース化して分析結果を公表する。収入・支出だけでなく資産との関係も分析の対象にする。

 報告を求める経営情報は検討中だが、事業所ごとに費用と収益を明らかにしていく。全国厚生労働関係部局長会議では、費用として介護用品等の材料費、職種別や常勤・非常勤などに区分けされた給与費、諸経費、委託費、研修費、減価償却費、徴収不能額、支払利息、引当金繰上額などが、また収益では介護収益や事業外収益、本部費などが掲げられた。データベース化によって経営情報を継続的に把握することになる。

 事業所の経営情報は、介護サービス情報公表の対象にもなる見込みだ。利用者の事業所選択のための情報として、現行の職種別人数や経験年数の開示に加えて、事業所単位の1人当たり賃金なども対象とすることが検討されている。こうした行政手続きの標準化や簡素化は、国の責任で進めなければならないだろう。

 税と公的保険料、利用者負担で運用される医療や介護は、子育て支援や障がい福祉を含めて、「公定価格の制度」とされる。最大のねらいは、介護職や保育士などの賃上げによる担い手の確保。民間企業だけでなく、建替費用などに充てられる社会福祉法人の社会福祉充実財産の活用も検討のテーマに挙げられている。

 2月1日に発表された21年度の介護施設・事業所の収支差率は、全体平均で20年度より0.9ポイントのマイナスとなった。収入に占める人件費の割合は、全23サービス中、18サービスでアップした。

 21年4月に導入されたLIFE(科学的介護情報システム)では、事業所ごとに各利用者の介護サービス実態の「見える化」が行われ、さらに24年改定では事業所の経営状況の「見える化」が進むことになる。
(シルバー産業新聞2023年2月10日号)

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